中古の不動産(戸建て・マンション)の購入時に、皆さんが一番心配なのは
「このお家は、本当に大丈夫? 欠陥住宅じゃないか不安、、」
という事だと思います。
特に築年数が新しいならともかく、築年数が古い戸建やマンションの場合心配ですよね?
引渡し後に見つかった不具合、例えば雨漏りとか、シロアリとか給排水管の故障などは、引渡してから3か月以内であれば売主様によって修理・修復をするというのが一般的な中古取引のルールです。
しかし、引き渡し後に一日も強い雨が降らないとしたら、雨漏りを発見するのは難しいですし、一般の方が床下を見てシロアリの確認をされることも少ないと思います。
事前に発見できれば良いのですが、不動産屋のレベルによって事前に発見できる・出来ないという問題もありました。
そこで中古不動産の「安心・安全な取引」を目指して、仲介大手を中心に
『建物検査・建物補修サービス』・『設備補修サービス』
というサービスが数年前から実施されました。
中古物件でありながらも、大手仲介業者が補修・修理をする、というサービスです。
今回は、現役の仲介業者で、不動産歴20年以上の私が、その大手4社
- 三井のリハウス
- 住友不動産販売
- 東急リバブル
- 野村の仲介+
の保証サービスについて解説をいたします。(2021年12月時点)
これをみれば、購入・売却時に不動産会社を選ぶ時の基準、またおまけとして仲介手数料との保証サービスの関係が分かります。
保証サービスの前に、そもそも中古物件の売主の責任とは
引渡し後に見つかった不具合は売主様が個人の場合、4つの項目に限定して修理・修復をしなければなりません。
- 雨漏り
- シロアリ
- 給排水管の故障
- 建物構造上主要な部位の木部の腐食

事前の告知でそれらを「発見していない」と告知たにもかかわらず、引渡してから3か月以内に買主様がそれらを発見した場合には売主様によって修理・修復をするというのが一般的な中古取引のルールです。
これはもともとあった不具合が後に露見するというケースのみです。
引き渡し後の経年変化で起きた不具合を保証するものではないので注意して
ください。
そして3ヶ月を経過したあとに露見した不具合は、買主自身によって修理修復しなければならなかったのです。
ちなみに「契約不適合責任免責」と記載のある中古物件では、これすらついていない、売ったらあとは責任取りません・知りませんというギャンブル物件となります。
※大切なことは小さく書いてある、契約不適合責任免責についてはコチラ

中古物件だが、仲介会社の負担で建物検査が実施される
中古戸建において、「見えないところは大丈夫?」という心配は付いて回ります。
売主様は自分の家とは言え素人さんですから、なかなか見えない屋根裏や床下などの不具合については発見するのは難しいのです。
では不動産屋ではどうかというと、先ほど述べたように担当のレベルによって、事前に発見出来たり、出来なかったりするのです。
私の様に以前住宅メーカにいた経験がある担当であるならともかく、例えば経験の浅い担当であれば、そもそもどこを確認してよいのかもわからず、事前に発見したりするのは困難です。
そこで大手では、条件を満たす物件について、外部の建築士による建物検査(インスペクション)が実施されることになりました。
これで大抵の不具合は売主様も買主様も事前に確認したうえで売却・購入が出来るようになりました。
実際この制度の導入後、引き渡し後のクレームは各社激減しました。
※インスペクションについての解説はこちら

※インスペクションはおそらく、今後中古取引においてはスタンダートとなるはずで、インスペクションしていない物件は競争力を失い、競争から淘汰される流れになると思います。そしていつまでもインスペクションを提案せず、契約不適合責任免責(瑕疵担保責任免責)といった責任逃れを提案し続ける不動産屋も淘汰されるでしょう。
この建物検査で問題がなかった場合、各社によって細かい金額の違いはあるものの、引き渡しから2年間は不具合が見つかった場合には各社の補修を受けることが出来ます。
中古物件なのに仲介会社の建物保証がついている
事前に発見できるのは売主にとっても有難いですし(不具合有で告知できるため)、買主にとっても、万が一の時の安心感が全く違います。特に雨漏りや給排水管の故障などは特にお金がかかりますので、住み替えの方などには多大なメリットとなります。
4社のサービスの適用条件は若干異なりますので、こちらの表をご覧ください。

各社の大きな違いとして、住友はマンションが築30年以内と限定、野村の仲介では戸建のみが対象
また住友と野村は一般媒介ではこのサービスは適用されませんので、一般媒介で依頼を検討されている方は要注意です。
中古物件なのに仲介会社の設備保証もついている
キッチン、給湯器、洗面化粧台、お風呂、トイレ、換気扇、等々設備はいずれは壊れる物です。
どの設備の10年を超えてくるとメーカーの耐用年数を超える形になり、いつ壊れてもおかしくないと見なされます。
売主様が設備について「発見していない」と告知しにもかかわらず、引渡してから7日以内に買主様がそれらの故障を発見した場合には売主様によって修理・修復をするというのが一般的な中古取引のルールです。
7日は短いと思われるかもしれませんが、壊れ物である以上、長い期間売主の責任にはするのは酷だという考えに基づきます。
そして設備の故障はやはり中古では一番の悩み事になると思います。
引渡し時には動いていても10日後には壊れるケースだってよく聞きます。

そこで大手では中古物件であるにも関わらず、2年間の設備保証(補修)サービスをつけました。
期間は2年間です。一般的なメーカーの保証が同様の2年ですので、メーカーでも何でもない仲介業者が2年の設備保証を付けているというのは、それだけ設備で困られている方が多かったという事です。
ただし、仲介会社によって細かく異なりますが、概ね製造から30年以内の設備に限られたりしますし、部品がなければ補修は出来なかったりしますし、製造年月日により上限金額が決められていたりします。※大体10年で部品の製造がされなくなります、理由は新品に変えてほしいからですね。
新品に交換は出来ませんのでご注意ください。あくまでも修理・修復が対象となります。
こちらも適用条件等ご覧下さい。

こちらも住友はマンションが築30年以内という制限があります、また野村の仲介は戸建ではそもそも利用できません。
住友と野村は先ほど同様一般媒介では適用されませんので注意が必要です。
おまけ:でもそんな保証サービスはお高いんでしょう?
これらのサービスですが、仲介手数料の中に含まれていますので、別途費用は必要なく、無償のサービスです。
保証サービスがつていても、保証サービスがそもそもついていなくても仲介手数料は変わらないのです。保証サービスが無いからといて仲介手数料は安くはならないのです。
同じ仲介手数料を支払うのならば、どちらが安心して取引できるか、ということですね。
※仲介手数料の仕組みと、全くの無駄ではない理由についてはコチラ

ただしどこも、仲介手数料を減額して支払う場合には適用されません。
様々な事情があるにせよ、数十万の仲介手数料数値引きを取るか、正規手数料を支払い数百万に相当する保証サービスを付与するか、というお話です。

まとめ:安心・安全の取引のために保証サービスはある方が良い
大手仲介業者では、今まで一番クレームの原因となっていた「引き渡し後の不具合」に対応すべく、保証サービスを無償で付与して、販売をするようになりました。
その結果、保証がついている物件と、保証がついていない物件では明暗がはっきりと分かれる形になりました。市場はやはり中古物件の見えない部分に大きなリスクを感じていたのです。
そして同じ仲介手数料を支払うのならば、保証サービスがついている中古物件を購入されるようになりました。
「中古物件は、本当に大丈夫? 欠陥住宅じゃないか不安」
これについてはインスペクションと、保証・補修サービスでリスクの対応が取れる時代になっています。今後の物件探しの際にはぜひこれらに注目してみて下さい。
そしてそれが安心・安全な取引に繋がることを祈っています。
ではまた!
※「大手仲介不動産会社に迫る」シリーズはコチラをご覧下さい。

