最高裁判例 タワマン購入による相続税対策神話崩壊の日【納税者敗訴】

不動産「売却編」

相続税対策にタワーマンションを購入する。
以前から公然と行われている相続税対策です。

しかし令和4年4月19日、最高裁が相続税の計算方法(評価)を「路線価」では「不当」だとして、「時価」で計算(評価)すべきとし、追徴課税処分を「適法」とする判決がなされました。

これはもうタワーマンションを購入しておけば相続税対策になる、という神話が崩壊した瞬間でもあるのです。

今回は、この最高裁の判例について、何がどう判断されたのか。
なぜ「路線価」での計算は認められなかったのか。
どうすればよかったのかなどを、不動産業界歴25年の私がなるべくかみ砕いて解説していきます。

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なぜタワマン購入が、相続税対策になる?

なぜタワーマンション(以下タワマン)購入が、相続税対策になるかという話ですが、正しくは「タワマンの上層階の購入が相続税対策になる」というお話です。

実例をあげます。

とある50階建ての50階の部屋を相続税対策で5億で購入しました。
ちなみに同じマンションの低層階は1億円程度が相場です。
そしてこのマンションを路線価(固定資産税評価のための基準価値)でみると、なんと税金上の価値は1億という計算結果になるのです。

そうなると、最上階であろうが、低層階であろうが税金上の価値は(ほぼ)同じ1億円ということになります。

5億で購入したものでも路線価を参考として「この部屋の相続税計算上の価値は1億円だ」という計算方法が可能だったのです。
5億の価値のマンションの相続税と、1億の価値のマンションの相続税では当然1億のほうが払うお金は少なくて済みます。

タワマン購入は相続税対策

そしてさらに、、

この部屋をすぐに売却したとします。
そうすれば5億で売れるはずです。

つまり、税金計算上の価値は1億しかないことになっていても、実際には5億で売却が出来るため、税金対策としてイイね、というお話になります。

心の声を表に出すと

納税者
納税者

相続税対策で5億円のマンション買ったよー

相続資産は5億円減らせたよー

でも相続税上の評価は1億だけなので4億円分ラッキー

1億分の相続税払って、また売れば5億返ってくるよー

やったね!

ということです。

相続税評価額の計算方法をめぐり納税者が敗訴

しかしそこに待ったをかけたのが今回の最高裁の判例となります。

相続税対策としてのタワマン購入

今回の裁判の流れを簡単に記しますと、とある方が相続税対策として

相続開始直前に借入を活用して賃貸用不動産を購入
       ↓
    相続開始直後に売却
       ↓
相続税の申告に際して路線価等により計算したが、認めれず追徴課税(時価評価)を課され裁判

という流れです。

表にまとめるとこんな感じです。

路線価評価が認めれず、時価評価となった裁判事例

相続開始前に(亡くなる前に)、借入をして(相続税対策として)タワマンを2つ購入。

その内、約8億3,700万円で購入したマンションは、路線価評価を基に約2億円で申告、も認められず時価評価となり約7億5,400万円と評価され追徴課税を課されます。

約5億5,000万円で購入したマンションは亡くなった後、相続開始後に約5億1,500万円で売却。
申告は路線価評価で約1億3,400万円で申告、も同じく認めらえず時価評価で約5億1,900万円と評価され追徴課税を課されました。

※今回は相続税評価を借り入れがあるとして0円で申告もしていたようですが

両方ともに

「路線価」での計算ではダメです、「時価評価」で計算しなさい

という判決になったのです。

時価評価とは、流通上の価格ということです。
意訳すると

8億で購入したのだから、2億という申告はおかしいでしょ?

5億で購入して5億で売っているのに、1億の申告はおかしいでしょ?

ということであり、

今回は「直近に購入や売却の履歴があるのに、路線価による計算方法はおかしいのでは?」と国税庁から突っ込まれたのです。

納税者
納税者

そんなのみんな今までそうやって計算してきたじゃないか!

ということで裁判となりましたが
細かいことは省きますが、非常に簡単に言うと、

今回のは「単なる節税目的」ですよね

と認定されたのです。
結果、「路線価評価」では認めてもらえず「時価評価」となり追徴課税を課されたというわけです。

まとめ:あからさまな相続税対策は時価評価のリスクあり

今回の県を税理士にまとめてもらっところ以下のような要点を貰いました。
時価評価のリスクありの項目となります。

①相続開始の3年以内に購入の投資用不動産
②相続開始の3年以内の投資用不動産の売却
③単なる「節税目的」と認定された場合
④投資用不動産を多額の借り入れで購入し、相続税を0とする場合

あからさまな(単なる)相続税対策としての購入は、「時価評価」で計算されるリスクがあるというお話でした。

何をもって「あからさま」とするのかは、投資用物件の場合、上記の通り3年以内に購入・売却が目安となりそうです。
※もちろん相続事情や資産事情によって異なりますので参考まで

多額の借り入れで無理やり資産を目減りさせた場合も、「単なる節税目的」とされるケースもあるため注意が必要だということです。


今まで黙認に近い形で、認められてきた相続税対策の一つですが、今回公に認められない判例が出てきた、という今後の相続税対策において大きな影響を持つ判決となりました。

タワーマンション購入(売却)は相続税対策にならない、と言い切るわけではありませんが、対策するなら時間をかけてじっくりと、ということでしょうね。

多額の資産があり、相続税対策が必要な場合はやはり信頼できる税理士を見つけておくということがキーになります。

まだまだこれから、という方でもいざそういう状況になってからではもう対策をするには遅い(節税目的とみなされてしまう)、というリスクがあるため、早め早めの動きをしていくべきだと思います。

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この記事を書いた人
エネミー伊吹
エネミー伊吹

不動産業界25年の現役不動産屋。
大学卒業後、住宅メーカーに就職し1年目に全国新人トップを取る。その後自身で設計した間取りで、実家を建て替える。
20代後半から土地活用会社にて賃貸と賃貸市場のマーケティングを担当する。
現在は仲介不動産会社に勤め、年間200件前後の不動産に携わり、毎年100組以上のお手伝いをする傍ら、ブログを書く日々を送る。
いちごを育てながらカステラを自分で焼く。甘党。

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