小規模分譲マンションの将来が不安になってきた理由【管理契約更新拒否】

不動産「購入編」

築年数が経過している、50戸以下の小規模分譲マンションで、大手・中堅の管理会社から契約更新を拒否されるというケースが増加しているという事をご存じでしょうか。

管理会社からマンションの管理契約更新を拒否されるということは、一体何を意味するのでしょうか。

今回はなぜ更新を拒否されるようなケースがが増加しているのか、小規模マンション購入時の注意点について、そして小規模マンションの未来について、管理組合理事長経験もある不動産歴20年以上の現役不動産屋が解説していきます。

これから築年数の古い小規模マンションの購入を検討している方にも参考になればと思います。

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結論:管理会社から契約更新を拒否された場合、自主管理に移行せざるを得ない

通常分譲マンションは「管理会社」と契約をし、管理費を払うことにより、一般の住民では難しいマンション管理の手伝いをしてもらいます。

管理員の派遣、会計管理、設備の維持修繕、共用部分の清掃等々を管理会社に任せることにより、住民はマンションについて特に難しい事を考えなくても、毎日の生活に集中することが出来ているのです。

ところが、管理会社が契約の更新をしてくれず、どこの管理会社との契約が出来なければ、そのマンションは住民自らが管理をしていく「自主管理」に移行せざる得ないのです。

自主管理は文字通り、住民自らが管理会社に代わって管理・維持・運営をしていく形になります。もちろん専門知識の少ない住民による管理の負担はとても大きいものであり、その大変さから、マンション購入時においても決してプラスの項目ではなく、マイナスの評価になるケースがほとんどです。

そして会計管理に関しても、高額のお金が絡むことで、会計担当による横領や着服などのニュースを目にされたこともあるのではないでしょうか。

もちろん管理会社に支払う委託料が不要になる分、管理費等安くなるメリットはあると思いますが、それ以上に負担が大きく、物件を購入する側にとっても躊躇する項目となります。

※不動産屋が購入しないマンションの特徴とは、についての記事はこちらから

【買ってはいけない】不動産屋が買わないマンションの特徴5選
不動産の仕事を長くやっていると、よく聞かれます。不動産屋さんからみて、どんなマンションなら購入したいですか?伊吹えーとですね安くて、広くて、綺麗で設備が充実していて、維持費が安く、景色が良く、便利で、駅が近い...

理由:小規模マンションの管理は採算が合わない

築年数の古い50戸以下の小規模マンションが、管理会社から更新を拒否されるのはなぜでしょうか。

それは「小規模マンションの管理は採算が合わない」からです。

多くの管理会社は日々の管理業務ではコストの増加から利益が出なくなってきており、金額が大きい大規模修繕工事で利益を見立てているところが多いと聞きます。
ところが小規模の古いマンションは、修繕積立金の残高(積立額)も規模の関係から少ないため、今後の維持修繕工事で利益を出しにくい(大規模な修繕工事にもならない)ということがあります。

更にコストの面では2018年にマンションの管理員や清掃員の最低賃金が改定され、人件費が圧迫しているという事実もあります。

その当時、各管理会社は管理組合に管理費の値上げの要請を出しました。
私も当時マンションの理事長をやっており、その管理費の値上げの話が出たので、管理会社に事情を確認した上で理事会で議題に挙げて、その後管理組合総会で了承を得た事があります。

しかし築年数の古いマンションは、高齢の住民も多く、年金生活の中で管理費の値上げ交渉に応じれないケースも多くありました。
結果、管理費の値上げに応じてもらえなかった小規模マンションからは更新時に手を引かざるを得なかった、という管理会社の話もありました。

築年数の古い小規模マンションを検討の際には、総会議事録を要チェック

中古の不動産売買の観点から見ると、自主管理のマンションの一番の懸念点は、維持管理・会計管理・運営が上手くいかず、マンション全体の価値を下げてしまったり、マンション生活のレベルが保たれるのか、という点です。

今後は自主管理に対して、行政を含めた様々な支援サービスも出てくるとは思いますが、現状まだ自主管理マンションは好んで選ぶという人は少ないと思います。

これから小規模のマンションの購入を検討される場合には、そういったリスクがあることを理解して検討しなければなりません。

それでもご縁の中で進められる場合には、契約前に、「総会議事録」などを不動産屋から見せてもらい、そういった話があるかどうか確認するようにしてください。

実は購入の契約時点で既に、管理会社から更新を拒否されており、自主管理に移行することが決まっていた、自主管理になると分かっていれば購入しなかったというクレームも起きています。

※クレームから学ぶ、マンションの選び方についてはこちらをご覧下さい。

クレームから学ぶ中古マンションの選び方#『重要事項調査報告書』『管理規約』は要チェック
不動産取引においてクレーム事例は数多くあります。その多くは不動産屋の調査不足、伝達不足、理解不足、怠慢によるものが殆どです。でももし、少しでも知識があれば、それらのトラブルはご自身の力で何とか回避できたかも知れませんん。知らないか...

まとめ:小規模マンションの未来とメリットについて

築年数の古い小規模のマンションが、その「うまみ」のなさから管理会社から契約の更新を拒否されて、自主管理になるマンションが増えるかもしれない、というお話でした。

もし、どの管理会社とも契約が結べなかった場合、自主管理をしなければなりません。

私の知っているマンションでは、管理費の値上げに応じなかったために管理会社から更新を拒否されてしまい、昨年から自主管理に切り替わりました。

そのマンションでは色々な話し合が持たれたそうですが、最終的にやはり住民だけでは管理は難しいと結論付けられ、マンション管理士と契約し、例えば清掃等の業務は、管理組合が直接清掃会社と契約をしたりと、アドバイスを受けながら運営を始めたそうです。


一番大変な会計業務については三菱地所グループのイノベオス株式会社という会社が作成した「クラセル」という携帯でも管理できる会計アプリを利用して、現状は問題ないとの事でした。
※「クラセル」についてはホームページをご参照ください。

クラセルは「分かりやすく簡単に」をコンセプトにしたマンション管理アプリです。
忙しい人でも管理の知識や経験がない人でも誰でも使いこなせます。

クラセルホームページより

小規模マンションだから管理会社から全て契約更新を拒否されるという事ではありませんが、将来に渡ってのメリット・デメリットをよく理解する必要があります。

小規模マンションのメリットは、
管理組合総会での意思決定が大規模のマンションに比べて割合スムーズだという事です。
また、小規模マンションは好立地が多いということ、例えば京都市中心部の様に高さ制限のある地域では好立地で小規模というマンションがほとんどです。
他にも敷地の外へ出るまでに時間がかからないとか、エレベーターが混雑しないとか、角部屋が多いといったメリットがあります。

今回のデメリットは「将来自主管理になるかもしれない」ということです。

マンションの管理というのは、自分の財産であるにもかかわらず管理会社に大部分を任せることで、住民の多くは関与している意識が希薄になりがちです。
実際に大規模のマンションでは自主管理は無理だと思います。

しかし小規模マンションであれば目の届く範囲内であることが多いため、今後様々な管理業務支援のサービスが充実すると予想されます。そして管理方法の見直しにより、管理会社に任せるよりもより効率的で、コストのかからない管理が実現出来る日も遠くないのかもしれませんが、まだまだ自主管理のマンションは大変な面が多いと思います。

管理会社の事情にも変化があり、今後管理契約を更新しないという選択肢が出てきてしまいました。
今後のマンション選びの参考になればと思います。

ではまた!

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エネミー伊吹
エネミー伊吹

40代前半の現役不動産屋。20年以上不動産に携わる。
大学卒業後、住宅メーカーに就職し1年目に全国新人トップを取る。その後自身で設計をし、実家を建て替える。
20代後半から賃貸会社に転職し、不動産のマーケティングを担当する。
現在は仲介不動産会社に勤め、年間200件前後の不動産に携わり、毎年100組以上のお手伝いをする傍ら、ブログを書く日々を送る。
いちごを育てながらカステラを自分で焼く。甘党。

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