仲介不動産屋はなぜ嫌われるのか【売却編:売れなくても困らない理由とは】

不動産「売却編」

不動産屋と聞くとそれだけで「うさんくさい」とか「人をだます」とか「金に汚い」といった印象を持たれている方も多いのではないでしょうか。
私も住宅メーカーや不動産活用や賃貸、仲介と長く経験をしてきている中で、残念ながら一度たりとも「かっこいい」「憧れる」「なりたくてもなれない」など聞いたことがありません。

不動産業界で働くのに必須ななものは「宅地建物取引士」です。一応国家資格です。

「弁護士」や「司法書士」「土地家屋調査士」「税理士」「行政書士」と同じ「士」業であるのにも関わらず「先生」と呼ばれることもありません。
唯一のマークシート方式(4択)の国家資格だからでしょうか。(宅建に記述式や口述式の問題はありません)
それとも、宅建をもっていなくても普通に営業している会社が多いからでしょうか。
※宅建が無いと重要事項説明書が出来ないだけで、営業活動はやろうと思えばできます。
過去「宅地建物取引主任者」という「主任者」というよく分からない呼称であった歴史が長かったからでしょうか。

なぜこうも距離をおかれてしまうことが多い職業であるのか、改めて不動産業界に25年いる現役の不動産屋が不動産屋仲介における嫌われポイントについて考えてみました。

そしてそれは考えるまでもなく、やはり不動産屋の自分勝手な都合による姿勢に問題があることが多いことが原因なのです。

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結論:仲介不動産屋にとって不動産は売れなくても困らないので嫌われる

まず仲介の不動産屋は不動産を売っていますが、極論をいうと

自分のもの(所有物)ではないので売れなくても困らない

のです。

固定資産税や電気・ガス・水道代などの維持管理費用は売主様が負担するので、(原則草刈りなども不動産屋の仕事ではない・別料金であるところがほとんどです)不動産屋は預かっている物件が早く売れようが、遅く売れようが影響はありません。
慣用句的に言うと「人のふんどしで相撲をとっている」状態なのです。

つまり経費のかかるいわゆる「在庫」は存在しません、という意味です。

もちろん売れなければ仲介手数料は貰えないので、売れなくても良いという意味ではありませんが、「早く売れなくても困らない」という意味です。

するとどういったことになるのか。
それは「査定」⇒「販売」のなかで嫌われてしまうような行動を取ってしまうのです。

査定書が適当

売れなくても維持管理リスクは負わないわけですから、不動産屋にとって大事なのは「まず物件を預かること」になります。
預かってさえおけば、自分たちで買主様を見つけられなくても、他業者が見つけてくれる可能性もあるので、まずは何はさておき「売却を任せてもらう」ことが第一になるのです。

※仲介手数料の仕組み上そのような考え方になるのですが、その仕組みについては別記事にしてありますので、併せてご覧下さい。

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根拠なく相場より高い査定書を作る不動産屋

その結果「査定書(査定金額)」が適当になります。
適当というか相場よりずいぶん高い金額を出して、売主様に気に入ってもらためだけの書類になっているのです。
これは
「査定金額」=「鑑定額」
だと思っておられる方が多いからそうなるのですが、買取(オークション)ではないのですから、本来は
「査定金額」=「相場(売れる金額)」
であるべきです。

流通という特性上、「相場」があります。
「相場」とは過去の実際の成約事例を基に形成されていくものです。
あなたの不動産だけが特別に違う仕様で、特別に違う立地で比較検討するものは一切ないという不動産であるならば話は別ですが、一般的には相場の範囲の中であるはずです。

ですから本来何社に査定を頼もうがその査定金額は大きな差が出ないことが普通なのです。
高い査定金額を出す=優秀な不動産屋
ではないのです。

不動産屋自らが買い取る金額であるならば、オークションのように高ければ高いほうが良いのですが、一般市場で売り出していくのであれば相場から大きく外れた(高い)不動産はやはり売れません。
それでも査定書を比較したときに低い金額をだしてしまうと競合の不動産屋に負けてしまうので、売れないと分かっていても高い金額を出すのです。

売れなければ、価格を売れるまで下げればよいと思っている

高いままでは売れないことくらいは不動産屋も分かっています。
ですから最初からこの金額では売れないことを理解しながらも「まずは売却を依頼してもらう」ことを優先にします。
そして

売ってみたら売れませんでした、このままだと売れないので下げましょう

といって、どんどん売れるまで無責任に金額を下げる提案をしてくるのです。

売主側も、一度売り出してしまうと、やはり高い金額で売れたらよいとは思っているものの、売れないと困るので、売れないなら価格を下げるという思考になりますし、
一度売却を任せてしまうと、また別の不動産屋に任せて手続きをやり直すのが面倒なため、ずるずると下げていくケースがあります。
そこを不動産屋は狙っているのです。

嫌われる理由が見えてきましたね。

査定額というのは、売主様にとっては今後の人生設計において、大きな影響を及ぼす金額なのです。
物件を預かりたいがゆえに、不動産屋の都合で勝手に売れない金額を提示されても困るはずなのです。

しかし残念なことに不動産屋は売れなくても困らないから、「たち」が悪く、思いは交わらないのです。

適正な査定額を提示してもう方法

そこで不動産屋に対して出来うる限りの対策方法をお伝えします。
一括査定であれ、直接不動産屋に依頼する場合であれ同じです。

査定の依頼に際して、一言添える(メールに打ち込む)だけです。
査定金額を適正に出してもらうための言いようは3つあります。

①ベーシックな言い方

価格交渉以外に価格変更(値下げ)をする予定はなく、売れなければ6カ月(3か月)以降更新をしないかもしれませんので、売却できる(自信のある)金額を出してください

値下げをするというのは、前の金額では売れなかったという事を吹聴しているのと同じです。
もしくは高望みをしていた物件、ということで足元を見られる可能性もあります。

無意味に不動産の市場での価値を下げないために、伝えておくと慎重な金額を出してくるはずです。

②テクニカルな言い方

また一度だけ実際に言われたことがあるのですが

査定額の比較の中で、一番高い金額と一番低い金額の会社は検討から外します

と言われると不動産屋は頭を使うことになり、単純に高い金額を出そうとはしないでしょう。
来たら、フィギアスケートの採点の方法を参考にしたようです。

③きつい言い方

個人的にはおすすめですが、不動産屋によっては嫌がって売却から撤退していくかもしれませんのでご注意ください。

査定額で売れずに、途中で販売価格を下げた場合は御社も責任として、その(割合)分仲介手数料も引いて下さいね

要するに、不動産屋は売れなくても困らないから相場より高い高い金額を出してくるのです。
そこで、売れなくて販売価格を下げたのなら、査定を出した責任として仲介手数料を下げて欲しいと伝えるのです。
※商談における価格交渉はこれには当てはめない方がいいと思いますが。

きつい言い方ですが、しっかりと根拠ある査定をしているのでれば、逃げたりはしないと思うのですが、、

査定書の確認方法

参考までに査定書の見方をお伝えします。
皆さん金額が一番気になるとは思いますがポイントは一つだけです。

査定書の「金額」だけを見ず、金額の根拠を確認する

ペラペラの査定書はただの簡易査定

査定書を作ってもらうにあたって、まず机上査定(簡易査定)を除いて1枚もののペラペラな査定書は参考にしないようにしましょう。

真面目に査定書を作っていれば、物件の概要や査定にあたり参考にした資料(謄本や公図等)や周辺の成約事例、周辺の売却中の物件の資料など、絶対に1枚では収まりません。

特に周辺の成約事例については一番の根拠となりえますので、不動産屋の言いなりで決めたくないのであればよく目を通すべきです。
極端に言うと同じ住宅地で、同じ時期に作られたお家は、大きさの大小やグレードの違いはあれど非常に参考になります。※接道方向など査定におけるポイントは別記事にて。

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マンションであれば、同じ間取りであれば後は階数(眺望)だけの差になることも多いですし、新築時のオプションによる金額差も誤差の範囲であることが多いので十分参考になります。

要するに「根拠」がきちんと示されていれば良いのですが、根拠なく金額だけの査定書は眉唾ものです、ということです。

参考までに大手では、近隣(同一マンション)での成約事例を項目ごとに点数化して、同じ土俵の乗せた時の平均値を取るなどして、根拠を示しているところが多いです。

大手が唯一対応している一括査定は

オススメ!

すまいValue (三井のリハウスや住友不動産等 大手6社による一括査定)

は、大手のみの安心査定でオススメです。

大手がない地域で、かつ不動産屋の特徴に詳しくない場合なら一社だけではなく、複数の不動産屋に査定を依頼して、査定書を見比べてみるのも一つです。

ただし電話が一斉にかかってきたり、メールが来たりしますので、参考程度に知りたいのなら一括査定はやめておきましょう。

まとめ:不動産屋は物件の売却を任せてもうらことが第一優先、売ることはその次

不動産屋はまず物件の売却を任せてもらうことが第一優先のため、相場より高い金額の査定額を提示し、気に入ってもらうための査定をしているところ多いのです。
そのため、長く売れない状態が続き、売主様は困るのですが、自分のものでないため不動産屋は困りません。

そして売れなかったら下げたらよい、と簡単に考えている不動産屋が多いのです。

結果、売れないことから不信感を抱かれ、売れたとしても不動産屋の評判は下がることはあっても上がることは少ないのです。

不動産屋の都合で大事な不動産の売却で踊らされないよう、査定の段階から十分に注意をして頂く必要があります。
闇雲に一番高い査定金額を出した会社に頼んではいけないということです。

少し乱暴な言い方になりますが、適正な金額であれば不動産屋の実力はなくても売れるものです。

適正な価格にプラスアルファで高く売るのに必要なことは、営業力(分かりません)でも熱意(口だけならんとでも)でも、ましてや地域密着(規模のお話)でもありません。

それは例えば保証サービスであったり、事前の建物検査であったりします。
同じ仲介手数料を支払うのであれば、根拠ある査定書と少しでも高く売るためのサービスに注目して決めてみるのが失敗しにくい方法の一つだ思います。。

個人的に不動産仲介手数料の仕組みとして、
「査定額で売れずに、途中で販売価格を下げた場合はその(割合)分仲介手数料も引く」
というのは制度化してほしいと思っていますが、現状ではそうなっていない以上、自身で身を守り後悔ない不動産売却をしたいですね。

ではまた!

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この記事を書いた人
エネミー伊吹
エネミー伊吹

不動産業界25年の現役不動産屋。
大学卒業後、住宅メーカーに就職し1年目に全国新人トップを取る。その後自身で設計した間取りで、実家を建て替える。
20代後半から土地活用会社にて賃貸と賃貸市場のマーケティングを担当する。
現在は仲介不動産会社に勤め、年間200件前後の不動産に携わり、毎年100組以上のお手伝いをする傍ら、ブログを書く日々を送る。
いちごを育てながらカステラを自分で焼く。甘党。

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