20年以上も不動産の仕事に携わっていると、

「不動産の仕事ってきついんでしょ?」
と、良く言われます。
サラリーマンであれば、どんな仕事でも楽な仕事というのは無いとは思っていますが、特にきつそうに見えるみたいです。扱う金額が大きいからでしょうか?

不動産と一口に言っても例えば
- 不動産販売(新築マンションや新築戸建て等)
- 不動産賃貸(アパート・マンション・駐車場・店舗等)
- 不動産仲介(中古戸建て・中古マンション・土地売買仲介)
- 不動産管理(分譲マンション、賃貸アパート等)
- 土地活用(賃貸アパート建設、駐車場活用等)
などなど、多岐にわたります。
職種も
- 営業
- 事務
- 管理
等々あります。
今回はこの中で不動産業「営業」の日常を、不動産売買・仲介・賃貸・土地活用に携わって20年以上、実家を自分で設計して建替え、マンションも購入し、マンションの理事長にもなり、現在は仲介で年間100組以上のお手伝いをしている私が、実体験をもとにお話しいたします。
不動産業界の実態を知りたい!という就職活動中の学生さんや、不動産業界への転職をお考えの方に参考になる内容となっています。

- 定休日はいつ?
- 残業は多い?
- 毎日どんなことしてるの?
- 忙しい時期はいつ?
- 年収は?
の5つが分かります。最後におまけもあります、ぜひご覧ください。
※そもそもの不動産業界への志望動機について、ヒント欲しい!という方はこちらをご覧下さい。

結論:火曜・水曜定休日で夜も遅めだが、歩合によって大きく稼げる
- 定休日は大体火曜日・水曜日 or 水曜日・日曜日
- 残業はそこそこ多い(平均20~30時間)
- 営業・調査以外ほとんど事務作業
- 1~3月が忙しい
- 平均年収は420万円
定休日は火曜日・水曜日が一般的(水・日タイプもあり)
一般的には火曜日と・水曜日が定休日のところが多いと思います。
サービス業ですので、土日での仕事(商談・案内・訪問等)が多いためです。
火・水定休日のメリット・デメリットは別途記事にしていますので、またご覧下さい。

夜遅くのアポイントや仕事もあり、残業はそこそこある
会社によりますが、大抵10時~18時という会社が多いと思います。
朝が少し遅いイメージです。
営業という仕事柄、お客様の都合によってスケジュールが決まることがほとんどです。
案内や・商談・契約と遅い時間帯になることもありますし、店舗(事務所)で完結しない仕事ですので、例えば17時半に案内現場で商談が終わっても、そこから店舗に帰ってなんやかんや、、、していたら大抵19時ごろにはなります。

業種や、会社の風土にもよると思いますが、平均的には一日1時間以上は残業があります。
書類関係も多いですし、突発的な案内や商談・訪問、対応すべきメールも多々あり、中々その日がスケジュール通りに動かないためです。
実際の一週間のスケジュール

ある実際の1週間を表にしてみました。
緑:事務所内での仕事
青:調査系の仕事
赤:営業(対面)系の仕事
やはり営業なので赤・青のように概ね外に出ていることが多いです。
土日に案内等、お客様と会う事も多いので、その結果をみて、月曜日に役所や現地の調査。
木金は土日に向けたアポ取りや、準備がメインとなります。
ここには書いていませんが、間にも銀行や、取引業者等の来店や、問い合わせの電話対応などもありますので、結構忙しいのは事実です。
始業が遅めで、夜もそこそこ遅いので、お昼は12時からすぐ食べる事は少ないです。
もちろん夜の訪問や契約があれば、もっと遅くなることもありますし、事務処理がたまり過ぎて一日中ひたすら事務所にいる事もあります。
事務処理は結構多い業界だと思います。
「契約書・重要事項説明書」の作成、「査定書」の作成、お客様へ「メール・お手紙・FAX」、「HP掲載手続き」、「本人確認書類の確認事務」、「調査記録書の作成」、「資金計画表の作成」、などなど。
事務処理の速さで残業時間が決まる
といっても過言ではありません。
大手の一部では、チーム制を敷いており、個人というよりは数名のチームで分担して業務にあたるのでもう少し効率は良いとも思います。
とはいえ、途中におやつ位は食べますし、休憩もしていますので、要は慣れですね。
しかしその勤務内容からコロナ禍において「在宅勤務」では仕事にならず、大手仲介業会社では感染者が多いという事実もあります。別記事にしてありますので参考下さい。

繁忙期は1~3月
1月~3月は不動産業界における「繁忙期」です。
就職や転勤、入学等で、住まいが変わる節目であり、とても忙しい時期となります。
流石にこの時期は下手したら残業40時間もあり得るかもしれません。(その分給料は貰えるはずですが。)
こちらも月ごとの購入検討者の推移を示したグラフや売却物件の総数の推移をグラフにした記事がありますのでよければご覧ください。

不動産業界の平均年収は420万円
国税庁が令和2年9月に発表した、令和元年度分の「民間給与実態統計調査」によると、
不動産業界の営業の給与実態については
平均給与:約420万円
平均月収:約31万円
平均賞与:約50万円
個人的にはもう少し多いイメージがありましたが、不動産業界の営業の給与体系はほとんどが『歩合制』だと思いますので、その辺で「稼げる」「稼げない」のが大きな差になっているのかなと思います。そして800万円超は全体の11%だそうです。
(参考までに、平均で約1000万円を超えるのは三井不動産などの、ごく一部の「超」大手だけです。)
個人的な話をすると、大学卒業後、住宅メーカー、土地活用会社、現在の仲介会社と辿っています。
超絶優秀な営業ではありませんでしたが、年収については、おおよそ
20代は400~500万円ほど、30代で500~700万、40代現在はそれ以上、順調に、という感じです。
※ただし私の場合はどの会社も大手だったので、比較すると50~100万円位プラスだとは思います。

ちなみによくある「歩合」の形態ですが、
①成約件数の評価(契約すれするほどプラス)
②仲介手数料総額の評価(トータルの仲介手数料が多いほどプラス)
これ②に限ると、地域差が大きすぎるので、例えば「芦屋や京都市中京区や南麻布や田園調布や成城エリア」と、「地方エリア」だったら、圧倒的に、同じ仕事量だとしても、圧倒的に(2度言いました)前者のエリアの方が金額が高いので、働く場所次第で年収が決まるなんて事になってしまいます。
ですので、その辺りの体系は確認できるのならば事前に情報を得ておいた方が良いです。
※いきなり芦屋エリアに行きたいといっても行けるかどうかは別として
決して、めちゃめちゃ楽で儲かる!という業種ではありませんが、実力主義の会社が多いので、若くても頑張りしだいで全然上に行けますし稼げます。
実際、若くして年収1,000万円という社員も、周りにいます。
不動産業界で働くなら、「宅地建物取引士」が必須
今まで、不動産業界にの実態についてお話をしてきました。
もし興味を持ってもらい、この業界で頑張ろうと思っている方が一人でもいてくれるならうれしい限りです
ところが活躍するには条件があります。
実は
不動産業界で働くなら、『宅地建物取引士』(通称「宅建」)という国家資格が必須です。
一部の大手では、宅建が無ければ、アシスタント扱いで、お客様と話す事さえできないというところもあります。

ここまできて、そんな国家資格だなんて、難しいこと言わないでよ!
と思われる方もいらっしゃるでしょうが、事実です。
無くても仕事は出来るかもしれませんが、出世は出来ません。
国家資格ですから簡単だとは言いませんが、すべて4択ですので、実力+αの要素で合格することも出来ます。
宅建の合格率は約15%~18%
毎年約3万~4万人の合格者数
受験資格の制限がないので、主婦の方も良く受験されています。
(不動産業界に勤めて○年以上の実務経験が必要とかはないからですね)
大学在学中に取れれば言う事はありませんが、それ以外の方は入社後に勉強しながら取ることになります。試験は1年に1回かありませんので、しっかりとした対策と勉強が必要です。
それに関しては沢山のスクールや教材があると思いますので、また確認してみてください。
最近ではスマホでの動画視聴で、空き時間をうまく使って資格の勉強をしている新人もよく見かけます。

正直、在学中に取得できれば、就職は相当有利ですし、不動産業界に就職しなくても、国家資格をもっているというのは、メリット以外の何物でもありません。
転職時には、大手等では宅建が無いと面接さえ受けれないかもしれません。
即戦力は別としても、宅建さえあれば不動産業界は人手不足ですので、ばある程度職には困らないはずです。
※現に私も何度か転職していますが、宅建があるので書類選考で落ちたことはありません。

不動産業界は「衣食住」の「住まい」に関われる大きな仕事です。
人の人生に大きくかかわることが出来る分、責任も大きく、責任が大きい分大きく稼ぐチャンスが転がっていますが、甘い業界でもありません。
それでももし不動産業界に進まれることがあるようでしたら、また近い将来どこかで間接的にでも関わることがあるかもしれませんね。
ではまた!