【年収は?】米国式不動産エージェントとは【日本で流行らない理由】

不動産「売却編」

皆さんが不動産を購入・売却をしようと思った時、「不動産会社」に行きますよね?
アメリカでは「不動産エージェント」という個人に仲介を依頼をします。

アメリカの有名な女性歌手の方が「不動産エージェント」の方と結婚されたというニュースがあり、不動産業界では

不動産エージェントって何?俺らとどう違うの?

おいしいの?

という仲介営業からの声が沢山聞こえてきました。

今回は、不動産業界20年以上の中で実は「不動産屋エージェント」のスカウトも受けたことのある私が、「エージェント」なるものについてお話させていただきます。

スポンサーリンク

不動産エージェントとは、専属顧客制、組織に頼らない一匹狼

『エージェント』というと、サッカーの海外移籍時の代理人とか野球の大リーグ移籍時の代理人的なイメージが強いのではないでしょうか。

日本の不動産仲介では、普通「不動産会社」に行って、そこで担当になった「営業」に依頼をして物件を探してもらうイメージです。つまり担当は基本的には選べません。

ところがアメリカの場合は不動産エージェントに依頼をする形が一般的です。
「どの会社にするか」ではなく、「誰に依頼するか」ということが重要視されているのです。

つまりエージェントとは、会社に属さず(属している形はブローカーと言います)、個人で仲介をしている「個人」が商品となる独立事業主ですね。

エージェントの年収は仲介手数料を総取りできるため、、

私のような会社勤めの場合、仮に年間で仲介手数料を5,000万円ほど頂戴していたとしても、全てお給料になるわけではありません。そりゃそうですね。

会社の看板で、「信用」を得て、会社の「費用」で集客をするわけですから、全部はもらえません、全部はね、、全部とは言わなくてもね、ほらでももう少し、、、、、いや独り言です。

これがエージェントの場合、独立事業者ですから、頂戴した仲介手数料は全て手元に入ってきます。
もちろん経費も等も全て自分持ちですから、全部ではないものの、同じ仕事が出来るなら確実にエージェントの方が年収は良いはずです。

以前、アメリカの不動産エージェントが実際に著名な歌手と結婚されたというニュースもありましたし、夢がありますね。

仲介業における両手契約は利益相反?

日本の仲介において、売主様と買主様を同じ不動産屋が担当になることがあります。
これは両方の事情をよく理解できているので、交渉が非常にスムーズにいきやすいというメリットがあります。

しかし一方では両方の間にいるため、どちらかの立場に一方的に立って商談をするとトラブルになってしまうため「私のために100%動いてよ」、という場合は希望を満たすのが難しいのです。

利益相反とまでは言えないものの、もしかしたら「もう少し高く売れた」「もう少し安く買えた」というケースが無いとは言い切れません。

そこでアメリカでは「不動産エージェント」という形が一般的になっているのです。
どちらか一方の代理人にしかならないため、100%顧客の側に立ってアドバイス、商談を代理で進めていくことが出来るのです。

アメリカでは売主が仲介手数料の負担をする

ちなみに日本と違い、アメリカでは売主が仲介手数料を負担します。

それでは買い側のエージェントは、ボランティアになるじゃないか!と何故か日本で怒る人がいるかもしれませんが、向こうでは原則「売り側の手数料を折半」する形です。大体相場が成約価格の6%程なので実は日本とあまり変わりはありません。

【無料のカラクリ】仲介手数料が無駄ではないケースについて【割引には要注意】
仲介手数料ってなに? 高くないですか?て思ったことはありませんか?仲介の不動産屋は、基本的に自分では在庫をもたず、いわゆる「人のふんどしで相撲を取る」業態です。卸売市場のセリの仲買人みたいなものです。(逆にややこしい)...

アメリカの不動産エージェントの年収

私の知り合いが数人、アメリカで不動産エージェントをしています。
もちろん年齢・能力や活動地域等バラバラですので参考になるかは分かりませんが

彼らの年収は多い時で、日本円で約4,000万円、通常は900~1,200万円、少ない時で300万円程だそうです。(経費除く)

最高年収の時は、たまたま懇意にしていたお客様が、商売が当たり大富豪になり、成金状態で不動産を買いまくってくれたからだそうです。

完全出来高制なので、基本給もありませんし、ライバルも年々多くなっているようです。
トップエージェントでないとどうしても年収は安定しないらしく毎年胃に穴が開いていると、よく愚痴をこぼしています。

エージェント制の日本におけるデメリット:情報量の差が大きすぎる

何故、日本でこの仕組みが一般的ではないのか。
いくつかの原因に分けて考えてみます。

これらは、私が「不動産エージェント」にならなかった理由であります。

会社と個人では情報量と、入手スピードに圧倒的な差がある

基本的に、不動産屋は「レインズ」と呼ばれる不動産屋だけが見れる有料のインターネットサービスがあり、そこには全不動産屋の情報が掲載されているため、いちいちSUUMOや各不動産屋のHPを見なくても、情報が入ってきます。

しかし個人では「レインズ」が見れないため、都度色々なところに探しに行かなくてはなりません。さらにそれにより情報入手のスピード感に大きな差が出るため、普通に不動産屋に負けてしまいます。

※アメリカでも同様に仕組みがありますが、「個人」も閲覧可能です。

大手信仰(無償の保証サービスの有無)が強い

不動産は大きな買い物になるため、どうしても大手や「名の知れた」不動産屋に頼むことが多くなります。さらに、大手では中古物件にも関わらず、設備の保証がついていたり、建物の保証サービスが無償で付与されます。当然個人のエージェントではそういったサービスは規模的にも資金的にも難しくなります。

その中古物件、保証ついてますか?【三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブル・野村の仲介+の保証サービス解説】
中古の不動産(戸建て・マンション)の購入時に、皆さんが一番心配なのは「このお家は、本当に大丈夫? 欠陥住宅じゃないか不安、、」という事だと思います。特に築年数が新しいならともかく、築年数が古い戸建やマンションの場合心配ですよね?...

つまり同じ仲介手数料にも関わらず、サービス内容に大きな違いがあるため、「個人」に依頼をするという風潮にはまだなっていません。

また『信用』も企業とくらべると、獲得するのには時間がかかるため、まずは大手といった流れになりやすのです。

売り情報が大手に集中し、客付け側に回らざるを得ない

上記の理由から、不動産の情報は7割以上は大手、中堅等の不動産屋に集中します。
とくに高額帯の不動産はその割合がさらに大きくなります。

売り側の情報が大手や中堅にほとんど集約されるため、売り側のエージェントなれる確率は非常に低いものなってしまいます。

そして売り情報が多くあるので、そこには当然買い情報も多く集まってくるため、買い側のエージェントになるのも狭き門となるでしょう。

日本ではエージェント制は普及しないのか

日本でも実は、このエージェントに近い形態で活躍されている方はたくさんいらっしゃいます。

◎社長一人で切り盛りしている不動産屋

これは、形は違えど、エージェント契約のようなものです。

ただし、最初から一人でという方は、両親からの代襲でもない限り私は知りません。
多くは、不動産業界で何年か経験をし、信用を少しづつ勝ち得て、会社外とのネットワークを強化した上で独立されています。

不動産エージェントで活躍しようと思ったら「信用」と「情報量」

日本で最初から不動産エージェントで活躍しようと思った時にはやはり次の点が重要になります。

  • 信用
  • 情報量(ネットワーク)

それが難しいから、会社に所属しているんだよ!という声も分かります。
先ほどの独立不動産屋さんもこのために、会社で経験を積んでいます。

ただし、昔と違い、今はSNSの発達により、誰も知らないところからスタートしなくても済みますし、そのSNSの繋がりの中で、普通に交流するだけでは出会えなかった業種の方々と出会えます。

ですから普通に会社にいるより、よっぽど信用とネットワークを持っている方も多いはずです。

まだまだ日本では耳慣れない「不動産エージェント」ですが、お客様との1対1の専属的なやり取りは、多くの満足を生む、顧客第一主義の基本のような業態だと思います。


日本の不動産エージェントの年収

私が受けた「不動産エージェント」とは企業であり、ある程度バックアップしますといった
フルコミッション(完全歩合制※)
の形でした。

※良ければ毎月〇百万、ダメなら今月給料なし!ケガや病気でも給料なし!

しかし上記でも述べた通り、金銭的なところは魅力的ではあったものの、情報量や信頼といった点で今の会社を離れるほどの魅力はありませんでしたので、その道に進むことはありませんでした。

日本で年収2,000万円に到達するには、1か月あたり最低3.3件の契約が必要

ネットの求人など見ていると「還元率75% 年収2000万円以上も可能!」とありますが、
単純にこれを信じたとして、還元率というのは仲介手数料の75%が貰えるのだと勝手に理解すると

仮に1契約あたりの平均成約金額が2,000万円だとします。
2,000万円の仲介で手に入る手数料は正規手数料(成約金額×3%+60000円)は660,000円

66万円の75%は495,000円、面倒なので50万円にします。

2,000万÷50万円=40(契約)

つまり1年間の40件の契約を行えばよい計算になります。

それは1か月で平均3,3件の契約が必要という事です。

これは大手仲介会社でも「個人で行う」仕事としては簡単な数字ではありません。
しかも、情報量が大手仲介会社と圧倒的な差があり、更にエージェント制度自体が浸透していない、市民権が得られていない現状を考えると、高いハードルだと思います。

実際は会社員として様々な項目で控除されると考えると、実際は1か月4~5件の契約を「個人」で継続し続けなければなりません。

不可能ではないにせよ、それだけの能力があるなら大手仲介会社であれば、もっと楽に数字を残してもっと給与を貰える可能性がありますね。

まとめ:日本ではまだ市民権を得れてはいない

不動産エージェントとは、例えば両手契約の利益相反ともとられかねない現状の仲介に対抗できる、片側(依頼者)の利益を最大限に優先し、交渉にあたってくれる仲介制度の事です。

しかし現実には、日本では大手信仰が強く、また不動産の購入・売却に大事な「情報量」・「情報スピード」において、圧倒的に大手と差があり、エージェントに依頼するメリット・優先順位が低く、そもそも市民権を得れていないのが事実です。

手数料総取りだから少ない件数で多くの利益がある、というのも間違いではないですが、依頼がなければ0は0です。

それでも、お客様の事を第一に考える、という意味においては本来理想的な制度なのかもしれません。

しかしまだまだ不動産情報の回る仕組みが変わらない限り、大手信仰が変わらない限り、諸手を挙げておすすめできる環境ではないと思っています。

ただ、いつか私も独立して、そのような形でもやっていけそうなときは、、、
皆さんの力を貸してください(笑)

ではまた!

スポンサーリンク
スポンサーリンク
不動産「売却編」 不動産「購入編」 不動産業界「裏側・真実編」
スポンサーリンク
エネミー伊吹をフォローする
この記事を書いた人
エネミー伊吹
エネミー伊吹

40代前半の現役不動産屋。20年以上不動産に携わる。
大学卒業後、住宅メーカーに就職し1年目に全国新人トップを取る。その後自身で設計をし、実家を建て替える。
20代後半から賃貸会社に転職し、不動産のマーケティングを担当する。
現在は仲介不動産会社に勤め、年間200件前後の不動産に携わり、毎年100組以上のお手伝いをする傍ら、ブログを書く日々を送る。
いちごを育てながらカステラを自分で焼く。甘党。

エネミー伊吹をフォローする
不動産屋はお嫌いですか
タイトルとURLをコピーしました