不動産即金で買取ります!
こういったちらしがポストに入っていたことはありませんか。

売れなかったら最悪買取でいいかも、、、
こういったイメージを持たれている方も多いと思います。
何故不動産屋は買取ってくれるのか。
どういったシチュエーションで買取りはおこなわれるのか。
今回は、今まで50を超える買取業者さんから買取をしてもらった私が、買取の仕組みとメリット・デメリットについてお話いたします。
見ていただくと、買取は決して夢の方法ではない事が分かっていただけるとともに、困った時の選択肢にはなり得るということが分かります。
結論:買取業者は「利益」をが出るから買取をする
何故買取業者(不動産屋)は買取るか。
それは『利益』が出るからです。
「売れない状況のもの」を「売れるようにして売る」
これが買取の仕組みです。
買取のデメリット:買取価格の目安は『査定額の60~70%』
買取業者は、買い取ってそのまま売ることは殆どなく、例えば
- 内装リフォーム
- 外装リフォーム
- 接尾の新調
- 庭のやり替え
- 駐車場増設
- 耐震リフォーム
- 家具・家電をセット
- ハウスクリーニング
などなど、様々な価値をつけて、差別化をし、売却できるように「商品化」します。


もちろん相応の費用が掛かりますので、(当然一般の方よりは安価には出来るルートを持っていますが)
買取費用+商品化費用+税金(※)+諸費用 < 再販売価格
にならなければ「赤字」ですし、上回った場合その差額が『利益』となります。
※転売用なので課税対象
そのため一般的には買取額は
査定額(相場)の60~70%程度が目安
となります。
残念ながら決して相場で買取ってはくれません。
つまり2,000万円が査定額ならば、1,200~1,400万円が買取価格となるのです。

うーん、安いなぁ、、
と思った方も多いと思います。
では、何故そんな安くても実際に買取で売却している方が多いのか。
実際、どんな状況の時に不動産の「買取」は行われるのでしょうか。
説明していきます。
買取は「売れない」シチュエーションで行われる
買取は、一般の方では手に余る状態、もしくは流通性の低い物件、もしくは売却活動に時間をかけず即現金化したい時が対象となります。
売ること自体が困難であったり、そのままでは売ることすらできない状況の物件を、一般の方に売るのを諦めて、安くても良いので何とか宅建業者に買取ってもらい、処分したい、というシチュエーションが多くなります。
例を挙げて説明します。
①再建築不可な場合
古いお家で、当時どうやって建築されたかは謎ですしさておいて、とにかく現行の建築基準法では再建築できない、というケースがあります。
例えばその物件が、接道義務を満たしていない(※1)、とか市街化調整区域(※2)など。
※1.原則、幅員4m以上の「建築基準法上の道路」に2m以上接していなければ建築できません。
※2.市街化を促進しない(原則家を建てたらダメよ)エリア。

流通の世界では
再建築できない=売れません
という図式があります。
再建築(建替え)出来ない不動産を、誰もわざわざ買おうとは思わないからです。
未来永劫、今建っているお家を直して直して直して使うしかありません。
しかしいつか限界が来ます。
(このままでは)売れないなら、売れるようにできる買取業者に安くても買取ってもらう、という事になります。
こういった場合に、買取った業者が、現状の柱や骨組みだけを残して、必要であれば構造自体を補強して、丸ごと造り変えたりして、家自体の「寿命」を伸ばします。これにより、購入してくる方が現れるようになるのです。
②早期に売却が必要な場合
色々な売主様の事情により(離婚や資金難、住替え等)、早期に売却したい場合です。
そういった場合は、市場に出して売った場合、どうしても売却期間が読みにくいため、市場に出す前にに買取をすれば相場よりは安くなりますが、時間をかけずに確実に現金化が出来ます。
③売るための準備が出来ない場合
相続で不動産を受け継いだけど、遠方で雑草とか木の剪定とか管理もできないし、家の中に荷物が大量にあって、遺品整理も大変だし、そもそも片づける時間も費用もない、などといった場合です。

買取の場合、後述しますが、『荷物とか家具とかそのままでOK』パターンもありますので、安くなる代わりに全部ぶん投げて、そういった一切の準備をせず、現状のまま買取ってもらうことが可能です。
ただし、もちろんご自身では難しくても専門業者を使い、片付が出来るようであれば、買取よりも高く売れる可能性は出てきますので、時間がある方であれば、事前に見積もりを取った方が良いと思います。

④同エリアに競合物件が多く、見通しが建たない場合
分譲地などに多いのですが、住宅地というのはある程度「同じ時期」に家が建っています。
つまり「同じ時期」に家が劣化していったり、「同じ時期」に家族構成の変化が起こったりするのです。
ですから、「同じ時期」に売却が重なり、周りを見ると沢山の物件が売りに出している、といったことも起こり得ます。数十件も似たような物件があると、競合過多、売却の見通しが立てにくいので、買取にしてでも、安くても売り抜ける、といったケースもあります。
⑤周辺に売却を知られたくない場合
この記事でも書きましたが、販売活動のメインはインターネットです。

周辺に知られたくない、ということはネット掲載や広告をしないという事になります。
つまり飛び込み来店のお客様か、過去に問い合わせのあった方のみが対象となります。
しかしそれでは、飛び込み来店が激減した今の時代売れません。
実際に試してもらっても良いのですが、よっぽどの好立地の好条件でなければ、売れません。
なにせ、その不動産屋のネットワーク内でのみにしか認知されないからです。
世界中の顧客>不動産屋の手持ち顧客
それでも周辺に知られたくないのであれば、確実に買ってくれるのは買取業者になるので、安くても売却するというケースです。
買取のメリット:早い・確実・内密・責任免責
上記で述べたように、買取のメリットは確実に・早く・そのままでは売却困難なものでも現金化できるということになります。
また本来負うべき売却した不動産に対する一定の責任や、義務を免責することも可能になります。
市場に物件を出さなくてよい
市場に物件を売却に出さずに済みますので
いつ売れるだろうかと心配したり、お住まい中の場合は、案内の際に、都度片づけや掃除をしなくても良くなります。
※内覧時の片付については別記事にしてあります。

周りの目を気にしなくても良い、といったメリットがあります。
相手がプロなので契約不適合責任・設備の修復義務を負わなくてよい
本来は負うべき契約不適合責任や設備の修復義務を負わなくて済みます。
ややこしい話なので、簡潔に言うと、
引渡し後に、隠れた不具合が見つかったり、設備が故障しても修復しなくてもよくなります。
正真正銘の現状有姿です。

境界標の設置・越境物の解消・未登記部分の登記が不要
購入相手が一般の方の場合、トラブル防止のために、境界標の設置が必須です。
高額の買い物において、どこからどこまで、が証明できないという事はあり得ませんでの、無い場合には土地家屋調査士に依頼してでも確定をする必要があります。
また越境物についても近隣トラブルの原因となりそうなケースは事前に解消が必要です。
未登記部分の登記は、住宅ローン審査のマイナス要件となるケースもあります。


これらのケースも、相手が買取業者(宅建業者)なら、全部業者で対応するので、認識だけ合わせていただければ現状で良いです、業者側で対応しますよ、というメリットがあります。
買取はオークションである
買取は、普通の査定と違って、高ければ高いほど良いです。
なぜならその金額で確実に購入してくれるからです。
(査定は売れなくても、その金額で不動産は購入してはくれませんよね?)
※査定額が高ければ高い方良いわけではない理由は別記事にて、合わせてご覧下さい。

信頼できるところであれば、何社でも見てもらえばその分価格も少しでも高くなる可能性はあります。
そこが一般売却との大きな違いです。

売れなかったら買取してもらおう、は損
売却前に、よく相談を受けます。

売却してみて、売れなければ買取してもらえるでしょうか。
そうすれば安心して売れます。
出来るか・出来ないかで言えば「出来ます」
ただし「やめた方がいいです」
売れなかった、という実績を引っ提げて買取価格を出してもらっても、当然安くなります。
今金額で売れない=もっと下げなければいけない=そこから60~70%
売却開始前であれば、各買取業者の中で、「いくらなら売れるかな」「改装したらいくらくらいで売れるだろう」といったそろばんがはじかれます。
ここが、より高い買取金額て字をするための腕の見せ所なので、買取業者にとっても夢が膨らんでいる状態です。
しかし一度売りに出して売れなければ、売れなかった物件、というレッテルの元価格設定をするので最初よりは当然ボーダーラインが下がります。
例を上げます。
査定が3,000万円のお家でしたが、住み替えの事情の中で売却期間に制限があったので、買取価格の提示を不動産屋に依頼しました。
状態が良かったので買取価格は、「2,500万円」つきました。
買取業者は「リフォームして最低3,100万円」で売れれば利益が出るという計算でした。
しかしそこでは一旦買取はやめて、あくまでも3,000万円を目指して一般の方向けに売却をすることになりました。

残念ながらご縁のタイミングが合わず、ずるずると売れ残り、価格も2,600万円まで値下げしていました。
売却しなければいけない期限が迫ってきましたのでそこでもう一度買取価格の提示を依頼しましたが
再度提示された買取業者からの金額は「2,000万円」でした。
2,600万円でも売れないという事は、実際には2,400万円でないと売れないかもかもしれない。ということはリフォームして再販売の最低ラインは2,700万円くらいかもしれない。
けれど売れ残った事実があるので、保険の意味でも買取金額は「2,000万円」にしよう。
こういった思考になります。
当初の買取でいけば「2,500万円」だったものが、世に出して売れなかったために、次の時には「2,000万円」になったのです。
もちろん極端な例ですし、売り出してみないと分からないのが不動産なのですが、後から出してもらう金額が、最初の金額を上回ることない事実だけは覚えておいて下さい。
相場より安くなっても、それを上回るメリットがあれば、買取が成立する
より高い金額で売却するなら、一般市場に出して、一般の方に買っていただくのがベストです。
ただしそれぞれのご事情によって、物件の特性によって、それが叶わない時もあります。
そういった時には、買取制度をうまく利用することも検討してみてください。
最近では匿名での査定など、気軽に問い合わせが出来るところも出来ました。
気になる方は一度無料査定を受けて、「買取時の評価を確認」しておくことも今後に役立つかもしれません。

ではまた!