【事故物件】心理的瑕疵あり不動産の告知義務【キーポイントはご近所にあり】

不動産「売却編」

不動産を検討する中で、その物件が「心理的瑕疵あり」「告知事項あり」と言われたら何があったのか気になりますよね? 

また、これから売ろう(貸そう)としている不動産が「心理的瑕疵あり」「告知事項あり」に該当するとき、売れるのか(貸せるのか)、査定価格(賃料)にどれだけ影響がでるのか不安ですよね。

今日は、「心理的瑕疵」について、実際にトラブルにも巻き込まれた事のある私が、その経験を踏まえてお話いたいします。

(豆知識)「告知事項あり」は首都圏不動産公正取引協議会に確認したところ「心理的瑕疵があると表現したことにはならない」という回答でしたが、実際不動産業界では「心理的瑕疵がある」と同じ内容で捉えられています。ここでは「心理的瑕疵」に統一します。

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そもそも心理的瑕疵物件とは

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すいません、説明が遅れました。心理的瑕疵物件とは、

その室内で、人が死亡した事実がある物件

のことです。いわゆる「事故物件」とよばれるものです。
※瑕疵とは分かりやすく言うと、傷・不具合・あるべき姿ではないなどの意味です。

告知義務があり、故意に告知しないと損害賠償も

こういった「事故物件」であるときには、残念ながら買主(借主)は積極的に購入(賃貸)しようとは思いませんので、売主(貸主)はその事実を事前に告知(説明)をする義務があります。

その事実を隠して売却したり貸したり場合には、相手から損害賠償請求されたり、解約されたりします。

告知すべきケース

心理瑕疵の場合、具体的にどのようなケースに該当すると告知をしなければならないか

実は法律上では、明確な定義はされていません

しかし物件内での

  • 殺人
  • 自殺
  • 不審死や変死
  • 死亡から相当時間が経過してからの発見

等は影響が非常に大きいため、告知をしなければなりません。

2015年の実体験

物件を相続した、息子さんから、家を買取してほしいと依頼があり、無事に条件が折り合い買取業者による買取契約がまとまりました。

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契約後、私がご近所にご挨拶していた時に、その家で自殺があったことを知っているかと伝えられ、その事実を初めて知ることとなりました。息子さんにその事実を確認したところ、

「自殺は家族内のデリケートな事なので、言いたく(告知したく)なかった」 
と言われました。

お気持ちはよく分かりますが知っていた以上当然告知しなければならず、買取業者が告知義務違反で裁判すると言ったところ、最初は突っ張っていた息子さんもその重大さに気が付き、売買代金の7割ほどを買取業者さんに返却して事が収まりました。

※その事実を知らない時に、何度もそのお家に入り、調査をしていましたが、何も感じなかったため私には霊感がないことが判明した一件でもありました、、、

告知不要なケース

逆に

  • 所有者(賃借人)の自然死(孤独死)ですぐに発見された場合
  • 物件内で(病気などで)倒れ搬送され、病院(救急車内)で死亡した場合
  • 通勤・通学中に事故や病気で亡くなった場合(家外)

これらは、家自体の瑕疵にあたらず、告知義務には当たらないという裁判所の判例が出ています。

2017年の実体験

戸建てを購入いただき、無事に引っ越しも終わったころ、買主様から連絡があり、
どうやらここで孤独死があって発見が遅れたと、そんなことは聞いていない、と。
近所の方から聞いたそうです。

当時そこには女性が一人でがお住まいでした。
たまたまご家族(売主様)の帰省中に、お風呂の中で病死されました。
よって告知する必要はありません。

すぐに発見されたものの、気が動転していた売主様は救急車とパトカーを呼んだため、それを見た近所の方がずっと事件だと誤解をしていたのでした。
死亡診断書出でもその事実が確認でき、ご理解はいただけました。

こういう時って、その時はバタバタしており、また落ち着いたとしても、その後ご近所に細かい事情まで説明をする機会も無く(または気持ち的にそこまで余裕がなく)、それが誤解を生んだケースでした。

どれくらい昔のことまで告知しなければならないか

心理的瑕疵の告知に関しては、実は「期間」があります。
期間というのはどういうことか。

例えば期間がなければ、関ヶ原の合戦で有名な「関ヶ原」の土地は遡ると全域(?)心理的瑕疵あり、と告知しなければならなくなります。

なので目安としては、

賃貸では事が起きてから2~3年程度経過するまで
売買では事が起きてから5~10年程度経過するまで

は告知が必要と考えられています。
※ただし賃貸でも4年とか5年経過しても告知しなければならなかった、という判例もありますので必ずしも、ではありません。

賃貸では1度入居者が入居すれば、それ以降は告知義務なし

賃貸の場合は売買より入れ替わりが頻繁にあるため、一度入居者が入った後は、告知義務はないという裁判所の判例も出ています。

ただし、これを悪用し、一度仮の入居者を入居させ告知義務を逃れるという(告知ロンダリング)、不動産屋も残念ですが存在していますので、注意してください。

※これに関し対策を考えてみたのですが、あまりこれだ、というのは思いついていません。
やはり契約前に近所の方に挨拶がてら、色々聞いてみるというのが一番かもしれません。

価格への影響について

心理的瑕疵物件というのは、やはり買手や借り手は相当少なくなります。
※一度だけ、お坊さんが私自ら供養しますと言って購入して下さったことはありますが。

どうしても選択肢が買取、もしくは相場より安値でのは販売(賃料)となることが避けられません。

もちろん、先ほどの「時期」経過を待つのも良いかもしれませんが、告知義務がなくなるかどうかは誰も約束出来ませんし、家の維持管理も必要ですし、その間経年劣化も進んでいきます。

その場合の価格は、決まってはいませんが一般的には

査定額(相場賃料の)約7割程度

と言われています。

2018年の実体験

お家で火事があり、その火事でご家族の一人が残念ながら亡くなってしまいました。
当然辛い思いのされたそのお家は取り壊され、その後、土地として販売を依頼いただきました。

当社は、相場で販売を希望されていましたが、家が滅失しているとはいえ、人が亡くなられている事実は、問い合わせがあった時にはお伝えしなければなりません。

その結果長期にわたり商談にならず、最後、査定額の6割ほどまで下げてようやく契約に至りました。その家自体が存在していなくても、不動産全体として影響を受けたという事例でした。

2020年の実体験

逆に、告知をせず、相場で売却をした他不動産屋の話です。

その家の持ち主が、性犯罪で捕まり、家が競売に出されました。
競売でその家を落札した不動産屋が改装して売りに出しましたが、その不動産屋は競売に至る経緯を告知はしませんでした。

家自体に瑕疵は無いので、という言い分ですが、近隣住民には周知の事実です。
その事を知らされずに購入者した方が、入居後に近隣住民からその事実を知らされ、これは心理的瑕疵にあたると告知義務違反について裁判を起こし、現在でも裁判で争っています。

相場で売却は出来ましたが、結局その後裁判になってしまい、今後の費用や手間や不動産屋事態の評判を考えると、、、難しいですね。

実は「心理的瑕疵あり」と表示したいけど、表示できない

一部不動産屋では、物件の資料やインターネットに、「心理的瑕疵あり」とは表示していません。

そんなに大事な事なのにどうして表示しないの?

という疑問はその通りです。
ですが理由があります。

「心理的瑕疵」については、亡くなられた方のご遺族のプライバシーに対する配慮も必要で、安易には表示出来ないのです。
広告やインターネットなど、だれでも見れるケースでは、一部の検討されている方への配慮よりも、プライバシー侵害への配慮が優先させれるので「表示したいけど、表示できない」となるのです。

心理的瑕疵について、同じマンションにお住まいの方や、近隣の方からすると、時間が経過し、その内容が徐々に風化するのを待つしか方法がない、その中で広告やインターネット等の誰もが目にする形で、その内容が思い出される表現になってはいけない、という事情もあるのです。

そんなに大事な事なのにどうして表示しないの?

ですからお問い合わせがあった際に初めてお伝えする。
そういう不動産屋もあることを覚えておいてください。

まとめ:後から、周りから言われて嫌だなと思うことは、告知すべき

このように、心理的瑕疵というのは、どこまで伝えて、いつまでの分を伝えて、というのが非常に難しいのです。でも、ここまでの事例を見たも分かることがあります。

キーポイントは『ご近所』にあり

ですから、私が気を付けて欲しいのは1点だけです。

トラブルを避けるために

「自殺とか、殺人とかに関わらず、近隣トラブル等
 後で周りから聞かされたら嫌だな、と思う話は売主さんはご存じありませんか?」

私がこの物件の担当であれば、売主様にこのように質問します。

また、購入を検討している物件であれば、これを不動産屋に聞いてください。

告知義務とかではなく、気になるかならないかは私が決める、という意思を示せば「後で近所から初めて聞いた」というリスクをなるべく回避することが出来ます。


誰も好き好んで、心理的瑕疵物件に携わる訳ではありません。

ただ、そうなってしまった時に、それが更なる不幸を呼ばないよう、買主様(借主)も売主様(貸主)も、こういった内容を知ってもらった上で、取捨選択をしていければいいと思います。

ではまた。

追記:令和3年5月20日、「宅地建物取引業者ニヨル人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン(案)に関する意見募集について」

国交省よりパブリックコメントが開始されました。今後、ある程度明確な基準が提示される可能性が高くなってきています。

(追記)国交省よりガイドラインが発表されましたので記事にしています、合わせてご覧下さい。

【事故物件】人の死に関する告知のガイドライン【どこまで言う?】
この家、5年前に一人で住んでいた母親が病気で亡くなり、10日後に私が発見したのですが、これって事故物件になるでしょうか?告知しないといけないのでしょうか、、、?不動産において『人の死』に関する告知のルール(ガイドライン...
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この記事を書いた人
エネミー伊吹
エネミー伊吹

40代前半の現役不動産屋。20年以上不動産に携わる。
大学卒業後、住宅メーカーに就職し1年目に全国新人トップを取る。その後自身で設計をし、実家を建て替える。
20代後半から賃貸会社に転職し、不動産のマーケティングを担当する。
現在は仲介不動産会社に勤め、年間200件前後の不動産に携わり、毎年100組以上のお手伝いをする傍ら、ブログを書く日々を送る。
いちごを育てながらカステラを自分で焼く。甘党。

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