【騒音トラブル】マンションを購入したら隣の住民が夜中に奇声を発する住民だった【対処法は?】

不動産「売却編」

中古マンションは新築マンションと違い、購入時に隣接する住民について知ろうと思えば、ある程度情報を事前に得ることが可能です。
一戸建ほどの濃いお付き合いではないケースが多いものの、家族構成や表面的な人となりは売主より告知があり、購入時の判断材料となり得ます。

しかし、それでも引っ越して生活をしてみたら隣の住民とトラブルになってしまうケースは誰にでも起こりえます。

今回は実際に、最近トラブルになってしまった実例を基に、対処する術があるのかどうかを、不動産歴25年、年間150組の契約に携わったことのある私が弁護士先生の見解も踏まえて確認しました。

最後には予想外の展開となってしまうのですが、、、、

※ブログ掲載にあたり関係者の承諾は頂きましたが、特定を避けるため事実と一部違う内容になっていることをご容赦ください。

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騒音トラブル:購入したら隣から奇声が聞こえてくる

先日、マンションを購入いただき、引っ越しの終わったお客様(買主様)より相談がありました。

買主様
買主様

深夜寝静まったころ、時折隣の部屋から奇声や壁を叩く音が聞こえてきて困っています、、

買主様
買主様

こういったことは契約時に売主様から聞いていないし、もし知っていて故意にこの事実を隠していたなら、何か対応してもらえることはありますか?

といった内容でした。

今回私は購入者側の仲介であり、売主様側は某大手仲介会社でした。
契約時に確認した「物件状況等報告書※」の『近隣トラブル』欄には売主側から何の記載(告知)もなく、買主様側はそういった内容は告げられていませんでした。

売買物件に影響を及ぼすと思われる過去に起きた事件・事故
※記載イメージ

※「物件状況等報告書」とは、FRPという大手や中堅が概ね所属している不動産団体で、統一書式で売主より現在の状況を告知してもらっている書類です。

物件状況等報告書(FRP)
物件状況等報告書(FRP)

今回、改めて売主側に確認したところ、何と「隣の部屋のご主人さまが精神的な病を患っておられた事実」が判明しました。

何故事前に教えていただけなかったのかを聞いてみたところ

売主様
売主様

5年ほど前には実際にそういった事実(奇声や壁を叩く音)はあったが、その後そのご主人が入院したことで事態は収まり、引渡しに至るまで同様のことは起こっていなかった

売主様
売主様

契約当時もその件では困っておらず、特にその住民と直接トラブルになったわけではないので告知する必要がないと思った

とのことでした。

買主様は「当然事前に知らせてほしかった、、」という思いになるでしょう。

売主による「告知義務違反」ではないのか?

売主側に何らかの対応を求めるにあたって、ここで問題になってくるのは、このケースが「売主の告知義務違反」に該当するかどうかです。

売主による「告知義務違反」である場合は、程度にもよりますが、代金減額請求(それが要因で価値が減少する)や損害賠償請求なども考えれます。

※参考までに「人の死による告知」に関しては別記事にしています。

【事故物件】人の死に関する告知のガイドライン【どこまで言う?】
この家、5年前に一人で住んでいた母親が病気で亡くなり、10日後に私が発見したのですが、これって事故物件になるでしょうか?告知しないといけないのでしょうか、、、?不動産において『人の死』に関する告知のルール(ガイドライン...

今回のキーワードは2つです。
「トラブル」なのかどうか、と「騒音」なのかどうかです。

「トラブル」であるならば告知が必要

管理員さんにも調査したところ、売主は5年間に管理員(管理会社)にも相談しており、管理会社も直接の介入はしていないとはいえ、掲示板に「ルールを守りましょう」と張り紙位はしていたそうです。

ここで問題になるのがこれは「トラブル」なのかどうかということです。

弁護士に相談したところ、考え方は色々あり難しいのですが、管理会社に相談しただけでは「トラブル」とは言い難いと、
警察にまで相談をしていたらこれは「トラブル」だと言っても良い可能性が高いので、現在起こっていないとしても、過去に起きたトラブルとして告知する義務があるのではないかという見解でした。

今回は「トラブル」ではないものの、

購入するに際して影響がない状況ではなく、非がないとは言えない

という見解です。

「騒音」と感じるのか、そうでないのかは個人差が大きい

もう一つ現在の困られている音の問題は「騒音」なのかどうかということです。
「騒音」というのは非常に判断が難しく、まず個人によって音に関する感じ方が全く違うということです。

今まで育ってこられた生活環境によって、人によっては少々の音は全く気にならない方もいますし、人によっては少しの物音でも気になる人がいるので、難しい判断となります。
実際今回も騒音元の部屋を挟んで反対側の住民からは、同様の訴えは起きていないようでした。

困っておられる場合はとりあえずその騒音の状況を録音しておくのが良いのですが、機器や周辺の録音環境に依存するため客観的なデータにはなりにくく、状況把握の参考にはなるものの、万が一の裁判で判断材料になり得ない可能性が高いとのことでした。
実際私も録音データを聞かせていただきましたが、正直誰がどう聞いても騒音ですね、という音には聞こえませんでした。

さらに、5年間に起きていた騒音(奇声)レベルと現在の騒音のレベルが同じものかどうかは、今となっては証明しようがないというのも悲しい現実なのです。

現在起こっている騒音のレベルを5段階で⑤(大きいほうがうるさい)だとして、当時の騒音は①だったのかもしれず、告知すべき内容のものであるかどうかは現在となっては証明(判断)できないというのが事実です。

ただし、壁を(継続して長時間)叩くということは通常ではありえないため、これは「騒音」と言えます。
「騒音」というよりも「迷惑行為」であり違法です(後述)。
ただし今起こっていないという状況においては「騒音」と同じく、過去に起きていた状況と同じなのかは証明できず判断できません。

しかも今回難しいのが、その原因が、精神的な病を患っておられることによるものだとすると、「騒音」と言ってしまっていいものか、「騒音」でなくても例えばその情報(病状)を買主側に告知として公開しても良いものかどうかはどうかはデリケートな問題であり、さらに判断が難しいところになってしまいます。

ただし隣の住民の入院前の時点で(5年前)に他の住民からも、管理会社へ同様の(うるさい)との申し立てがあったり、管理組合の総会の議事録などでそのことが話題に上がっていたのであれば「トラブル」か「騒音」かという論点はさておき、事実として告知をする必要は出てきます。
これは仲介会社の責任になります。説明がない場合は調査不足による購入判断材料に関する告知(アドバイス)漏れです。

今回はそこまでの事実はなく、仲介会社自体がそもそもそのことを把握しておらず、当然アドバイスもしていないのですが、本来であれば告知の段階で、そういったことがうまくヒアリングできていればよかったのでしょうが、、、

以上より、今回の件について

過去に実際に売主は知っていた内容ではあるが「トラブル」ではなく、また5年前当時はマンション内で問題となるようなところまで行っていないため当時も「騒音」であったと証明は出来ない
よって「売主の告知義務違反」で追及をし、何らかの対応を求める、というのは難しいと判断をしました。

買主様にとっては大変気の毒ではあるのですが、買主様も売主様をそれ以上追及するご意向がなかかったため、現実的な対処方法を考えることにしました。

《対処法》購入検討時に出来る、トラブル回避方法

それでは本来はどうすればよかったのでしょうか。
ここで購入前に出来る、こういったトラブルを避ける方法をお伝えします。

それは前述の「物件状況報告書」を事前に確認するということです。
そして、もし近隣トラブルや心理的瑕疵(事件・自殺等)がなしと書いてあっても、

現在はなくても、過去にそういったトラブルやお困りごとはこの部屋やこのマンションでなかったですか?
(気になるかどうかはこちらで判断するので)告知義務うんぬんは抜きにして、売主様が知っていることがあれば教えて欲しいです。

と不動産屋に聞くことです。そして回答はメールか文章か残るもので貰うとさらに良いでしょう。
これで後にトラブルが判明すれば、不動産屋の責任について話をすることが出来ます。

売主を疑っているようで中々聞きにくいかもしれませんが、後々にトラブルになることを考えれば遠慮せず聞くことをお勧めします。
もしそれで気を悪くされるような売主であれば、何かあったのを隠しているのではないかと勘ぐってしまいます。

共同生活における迷惑行為は違法

今度は実際に現在出来る対処方法について、段階的にお話をします。

①まずは隣の住人と話をする

各住戸にはそれぞれの事情があります。今回でいうと精神的な病を患っているという事実がありますが、深夜に騒音を出すというのはマンション住民にとって迷惑行為です。
同居している家族として身内の迷惑行為に対処すべき必要な対応があると思います。(もちろん物理的に対応可能かどうかは別として)
何らかの対応もしていないようであれば、「騒音で迷惑している旨」をきちんと伝え対応を求めるのが第一段階となります。

もちろん近所付き合いの中で言いにくいことだと思いますので、その場合には管理組合に対応を求めることとなります。

②管理組合による法的措置をとる

マンションの各住民は、共同生活である以上、他の住民に迷惑をかけてはいけないのは当然であり、管理規約にその旨記載があります。

「区分所有者の共同の利益に反する行為」の禁止です。

例えば
・騒音の発生
・悪臭の発生
・ペット飼育禁止のマンションでペット飼育
・共用部分(廊下等)の占有
などがあります。

迷惑行為に対する3つの対処方法

住民がマンション内で迷惑行為を行っている場合、管理組合は法的措置を含めた対応を検討する必要があります。
この対応は3つあり

・迷惑行為をやめてもらうよう請求する「行為の停止等の請求」
・専有部分を使えなくする「使用禁止の請求
・強制的に売却して出て行ってもらう「区分所有権の競売の請求」

難しい話になりますので簡単に言いますと
・「行為の停止等の請求」
 →迷惑なのでうるさくしないで下さい
・「使用禁止の請求」
 →迷惑なのでもうその部屋を使わないで下さい
・「区分所有権の競売の請求」
 →強制的に部屋を売りますので、このマンションから完全に出て行ってください

下に行くほど厳しい内容の請求になっています。

マンション内における迷惑行為は「共同利益背反行為」に該当し、共同利益背反行為だと思われる場合には、管理組合は住民の共同の利益を守るため上記内容の請求を行うことが出来ます。

そのために必要なことはまず管理組合総会(集会)を開いてもらうことです。
そしてその(臨時)総会で決議が必要です。
決議とは賛成を得るという事であり、簡単に言うと
「行為の停止等の請求」では過半数の賛成、「使用禁止の請求」「区分所有権の競売の請求」では4分の3以上の賛成があれば請求が可能になります。

要するに管理組合(理事長)に話をして、総会を開いてもらい、そこで住民に状況を説明し、その請求内容について一定以上の賛同が得られれば、管理組合としてその迷惑行為者に法的に対応を求めることが可能なるのです。

とはいえ、ご覧いただいたら分かるようにハードルは高く、「法的措置」という言葉が出てくる通り内容も厳しいものとなります。
もちろん迷惑行為をする方が悪いのですが、そこまで請求をするのか、躊躇されるでしょうし、悩まれることだと思います。
実際裁判で実行されたケースも存在しますが、全体の中ではごく一部だと思います。

今回の買主様にも、同様の内容をお伝えしました。
マンション自体は非常に気に入っているので何とかしたいという気持ちはあるものの、原因が精神的な病を患っておられるという事情も鑑みて、さすがにそこまで大ごとにはしたくないというご意向でした。

室内の防音工事による対策

そこで今回は室内側である程度の対応を試みることなりました。
「防音工事」をするという結論です。
騒音がする方の部屋側の壁に防音材(吸音材)を貼ることになりました。

80㎡の部屋の一部になりますが、振動もある程度吸収出来る鉛入りの本格的な内容にした結果概ね250万円ほどかかることになりました。

防音工事見積イメージ
防音工事の見積もりイメージ

※参考までに数年前の別の案件の同種見積もり(現在では材料不足からこの価格の1.3倍ほどになっています。)

今回売主側は、告知義務違反ではないという主張ではあったものの、何らか過去の経緯など伝えておいた方が良かったという理解をいただき、一部費用の負担を頂くことが出来ました。

しかし残念ながら防音工事は根本的な解決にはなりえません。

窓経由で外から入ってくる音は壁では防げません。
仮に隣の住民が自身の部屋(バルコニー)の窓を開けて奇声を発したらその音は外から入ってくる可能性があります。
さらに本格的な施工内容になった結果、壁が10㎝程厚くなってしまうため、部屋内が狭くなってしまいました。

根本的な解決はやはり隣地の住民に対して何らかのアクションを起こす(起こしてもらう)ということになります。
しかしそれでも今回はすべてご承知の上、ご自身で出来る防音対策をされるという結論で終わることになりました。

その他対処方法(マンション紛争解決センター)

例えば相談したくても不動産屋の知識が乏しく頼りなくて、残念ながら相談できない場合などには、弁護士先生に依頼する前に相談できるところもあります。

マンション紛争解決センター
電話09-5839-2841
ホームページ

もし管理組合に直接話しづらい等あれば、一度ご連絡してみてくださいとは伝えました。(具体的な手続きに入る場合には費用がかかります)

近隣トラブル

最後は予想外の結末に、、、

今回買主様の相談に対して様々な選択肢を含め、ご提案をさせていただきましたが、過去の経緯から「トラブル」とはいえず、「騒音」と感じてはおられるものの、過去も同様の「騒音」であったか証明できない状況であるため、「売主の告知義務違反」で何らかの賠償を求めることはしませんでした。
また、管理組合を通じての法的な「請求」も現在の精神的な病が原因であるという事情から、そこまではされないという結論に至りました。

ただし、色々な経緯を考慮して、売主には室内の防音工事の負担をご協力頂くことで落としどころが見つかりました。

そんな中、予想外の出来事が起こりました。

その騒音のもととなっていた部屋の住人が警察に逮捕されたのです。

マンション外で傷害事件を起こしてしまったのです。
病気の事情から再度強制入院となったようですが、結果その部屋は売却されることとなるようです。
何という事でしょうか、、

さて、
今度売るときにこの部屋の物件状況等報告書にはどのような記載がされることになるのでしょうか。
それとも部屋に罪はないということで何も書かれないまま売却されるのか、、
そうなれば結局、引っ越し後に近隣からそういった話を聞き後々トラブルになる未来が見えます、、、、、知りませんが。

そして売主側担当だった大手仲介会社の担当は、連絡もなくいつの間にか退職していました、、、

まとめ:トラブル回避のためにはまずは「聞く」こと

今回のようなデリケートなケースを含めて、こういった「今は起こっていない」トラブルや音関連は聞かないと出てきません。
聞かれなかったから答えなかった、ということも(悪意があるかどうかは別として)十分にあり得ます。

本来は物件を売却するときに預かった不動産屋がヒアリングしておくべき内容なのですが、残念ながら全ての不動産屋がそこまで把握出来ているわけではありません。

ですから「聞く」ことがトラブルを少しでも回避する方法となります。

他にもマンションの掲示板を確認するとか、重要事項調査報告書を確認するとか方法はありますが、まずは「物件状況等報告書」の確認と「ヒアリング」です。


「物件状況等報告書」は事前に売主より取り付けていない不動産屋も多いですが(下手したら無いところすらあります)、契約当日ではなく事前に確認することをお勧めします。

その上で

書いていないことでも、こちらが後から知って困ることや過去の出来事はありませんでしたか?

と、不動産屋経由でも良いので聞いてください。

一生に何度もない高額な買い物です。
このブログで何度もお伝えしていますが、不動産の取引で後悔しないためには
信頼できる不動産屋をみつける知識をつけることしかありません。

このブログがその一端にでもなれば幸いです。

失敗しないマンション購入についてはいくつかの記事にもしていますので、併せてご覧下さい。

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ではまた!

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この記事を書いた人
エネミー伊吹
エネミー伊吹

40代前半の現役不動産屋。20年以上不動産に携わる。
大学卒業後、住宅メーカーに就職し1年目に全国新人トップを取る。その後自身で設計をし、実家を建て替える。
20代後半から賃貸会社に転職し、不動産のマーケティングを担当する。
現在は仲介不動産会社に勤め、年間200件前後の不動産に携わり、毎年100組以上のお手伝いをする傍ら、ブログを書く日々を送る。
いちごを育てながらカステラを自分で焼く。甘党。

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