「住宅ローンが使えない」物件の特徴と簡単な見分け方教えます

不動産「売却編」

気になった物件だったので
資料を取り寄せて
実際お家を見学して
気に入ったので
住宅ローンの審査をしようと思ったら

銀行さん
銀行さん

このお家、残念ですが、住宅ローンが使えない物件です。

これまでの時間は何だったのか、、

実は住宅ローンが使えない(通らない)、中古戸建は少なくはありません。

しかし残念ながら、資料を見るだけではパッと分かるようにはなってません。
大抵大事なことは資料の右下付近や、ネット画面の下の方の「補足」に小さく書いてあります。

あなたは物件資料を正しく見れますか?【大切なことは小さく書いてある】
いつだって大事なことは小さく書いてあるこの世の真理です。気になった不動産の物件資料やチラシを見てこれいい!と思ったことがありますよね?でもちょっと待ってください。本当にその物件には注意すべきポイントはないのでし...
瑕疵担保免責・セットバック・未登記部分あり

今回は、昨年も21もの銀行と取引をさせていただいた現役不動産屋の私が、住宅ローンが通らないお家の見分け方について、ご説明をさせていただきます。

これをご覧になれば、中古戸建てや、またその物件資料を見る時に、どこに気を付けて見れば良いかが分かります。
また、そういう本来住宅ローンが使えない物件でも、対応が可能になる方法があるのかどうかをお伝えしていきます。

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結論:①建ぺい・容積率オーバー②未登記物件③境界④再建築不可に要注意

住宅ローンが使えない(通らない)中古戸建ての特徴は大きく4つあります。

①建ぺい率・容積率オーバー
②未登記(増築未登記)
越境
再建築不可(接道・市街化調整区域等)越境
おまけ:境界トラブル

このうち①と②は
『ルール(法律)を守っていないお家には貸せません』
ということになります。

③と④とおまけは
『将来担保として回収(売却)するときに価値を阻害するので貸せません』
ということです。

このように見ていただくと少し分かりやすいのではないかと思います。

建ぺい率・容積率オーバー

そもそも「建ぺい率とか容積率って何ですか?」という方は別の記事で解説をしていますので、先にご覧下さい。

きのこの山とたけのこの里で学ぶ、今さら聞けない『建ぺい率・容積率』
戸建や土地の資料を見るときに、必ず記載がしてある「建ぺい率と容積率」なんだか分かるようで分からないということはありませんか?大体、文字の中に漢字とひらがなが混じっている時点で危険な匂いがします。本来はひらがなではないはずで、建ぺい...

都市計画法という法律の中で、各地域には「用途地域」というものが設定されています。
ある程度このエリアには店舗があって、こっちは住宅地にして、、というような色分けのようなものです。

※例えば住宅地であれば、「第1種低層住居専用地域」とか「第1種中高層住居専用地域」など。
また駅前とかであれば「商業地域」や「近隣商業地域」、工場地帯であれば、「工業専用地域」など。

各用途地域にはそれぞれ建ぺい率と容積率が定められていますので、建物を建築する際にはこの制限の中で建築をする必要があります。当然建築前の審査でこの基準を満たしていなければ建築は許可されません。

新築時に許可を得てキチンと建築されているならば、中古でも安心なのでは?

たしかに新築の時に許可を得て建築されているお家は原則大丈夫です。
しかしそれでも現状建ぺい率や容積率がオーバーしてるケースが4つあります。


(1)建築基準法が制定される前に建築されている場合
(2)建築当時と現在とで建ぺい・容積率の規定が変わっている場合
(3)建築後に増築した結果オーバーしている場合
(4)建築後に敷地の一部を売却したり譲渡した場合

このうち(1)と(2)については不可抗力ともいえますので、(既存不適格という言い方をします)銀行やエリアによっては住宅ローンの利用が出来ます。
※(2)でいうと建築当時建ぺい率が60%だったエリアが、見直されて現在では40%になっており、現建ぺい率だとオーバーしてしまうというようなことです。

特に京都などの町屋エリアでは慣習上、建ぺい・容積率は普通にオーバーしていることが殆どですので、建ぺい率は+10%までならOKとか、容積率は+20%までならOKとか銀行によって対応可能ケースもありますのでよく確認が必要となります。

ただし(3)や(4)は自身の意志で建ぺい・容積率をオーバーさせていますので、悪質と捉えられ(違法建築扱い)銀行からは住宅ローンを貸してくれない物件とみなされます。

この場合もそうなった経緯や、事情によって住宅ローンが適用になるケースが無いとは言いませんが、原則は難しいと覚えておいてください。

未登記(増築未登記)

建築したら法務局に登記の申請手続きをしなければなりません。
もしこれを怠ると不動産登記法に違反します。

ちなみに良く誤解されている方がいるのですが、
登記をしていない=固定資産税がかからない
というわけではありません。

実際、航空写真や現地確認で増築部分を含めた確認を各地方行政で行っており、登記をしていなくても課税されているケースもあります。

新築時から未登記というケースはまれだと思いますが、中古戸建でよくあるのが増築後未登記の場合です。おそらく多くの方は悪意があるわけではなく、その必要性を知らずに登記をしていないのだと思います。(工事をした工務店等もあまりそういう所まではアドバイスされないです)

しかしそれでも未登記部分があるということはルールを守っていないということになるので、その物件は住宅ローンが利用できません

増築箇所で多いのはサンルームや1階の増築、小屋裏収納などです。
法務局で取得できる建物図面と比較するとすぐに分かるので、売り元の不動産屋は調査段階で知っているはずです。

対策は簡単で、売主様にお願いし増築登記をしてもらうことです。
もちろん費用は原則売主持ちです。もし嫌がるようでしたらその物件は現金購入の人しか買えない物件となり、とても売るのが難しくなります。

そもそも不動産屋は預かった時の調査でその事実を知っているはずで、事前に売主様には増築登記をしないといけない旨は説明をしているはずですので、悪質な(レベルの低い)不動産屋でなければトラブルは起きないと思いますが、、

ちなみに売主様から

売主様
売主様

長い間未登記だったので、今頃登記したら追徴課税されますか?

という質問も受けますが、不動産屋には正直分かりません。

とはいえ、先ほど述べたように登記していなくても課税されているケースであれば大丈夫だと思いますし、実際私はこの20年間それで追徴課税を受けたという話は一応聞いたことはありません。

どちらかと言えば問題なのが先ほどの建ぺい率・容積率との絡みです。
増築登記をした結果、建ぺい率・容積率をオーバーするようであれば、そもそも住宅ローンが使えない可能性が高いですので、よく不動産屋と話し合ってください。

越境

越境とは、敷地内の何か(例えば屋根や、雨どい、植栽、電線等)が隣地(他人地)へ出てしまっている状況の事です。これには加害と被害があります。

この越境についても別の記事で説明をしておりますので、合わせてご覧下さい。

内覧しなくても分かる、失敗しない中古戸建の選び方【3つのポイント】
みなさん中古戸建てを選ぶ際に、「どこ見たらいいのか分からない」とお困りではありませんか?中古戸建に関しては、まず内覧の前に、3つのポイントを外から見ることが大事になります。中を見る前に外を確認する実はこれが大事なの...

銀行としては、越境について今は大丈夫であっても、将来隣地とのトラブルになる火種という認識です。ですから将来ローンの支払いが出来なくなった時の担保として抵当に入れるわけですが、「その物件の価値が下がる可能性があるのならば貸せませんよ」、ということです。

ただしこれも対応策が2つあります
(1)越境自体を解消する方法

例えば、上記の写真で言うとアンテナが隣地から越境されている(被害)とします。

現在はトラブルはないとしても、銀行からすると、「越境を解消してください」ということになりますので、不動産屋にお願いして、隣地の方とお話をしてもらい、アンテナを移動してもらうのです。

大抵はむこうは加害側ですので、お願いをすれば対応いただけることが経験上多いですが、もし対応いただけない場合は理由にもよりますが、隣接地との人間関係においても今後苦労をするかもしれませんので、再考する必要があるのかもしれませんね。

もちろん加害側である場合には売主様に解消してもらいます。

(2)『覚書』を交わす

例えば、上記の写真で言うと隣地のバックヤードの木枠やトタン屋根がこちら側に越境している(被害)とします。境界ラインを上まで伸ばしたのが黄色のラインです。

これは先ほどと違い簡単に解消できる問題はありません。木枠ごと壊してもらうか、切り取ってもらうしかありません。

ですから、そこまでしなくてもお互い(現売主と隣接地所有者)に『覚書』を交わしてもらう事により、住宅ローンが使える物件にするという事です。

『覚書』の内容は、
「今はそのままでいいけど、将来建て替える時とかにはちゃんと壊して越境が無い状態にしてね」
といったニュアンスになることが多いです。

これも理解を頂けない場合(もしくは境界で揉めている?)は検討を再考する必要があるケースなのかもしれません。

状況にもよりますが、電線やアンテナなど動かせるものは動かして解消をすればOKで、建物の一部など動かせないものであれば『覚書』で対応ということになります。植栽など軽微な越境についてはうるさく言われることは少ないとは思います。

再建築不可(接道なし・市街化調整区域等)

再建築不可物件も不動産流通において、住宅ローンが利用出来ない物件になります。

再建築不可ということは、新たに家を建て替えることが出来ないということです。
今あるお家を一生直して使い続けるしか方法はありません。

再建築が出来ない理由は、道路に接してないとか、市街化調整区域(原則建築が出来ない地域)内にあるとか、様々な理由があると思いますがとにかく、不動産の流通という意味においては大きく価値を下げる可能性が高いものになります。

つまり銀行としても担保価値を見出すことが出来ない場合には、原則住宅ローンが使えないということになります。

※ただし「無担保住宅ローン」や「43条但し書き」で建築できる可能性がある時は少しだけチャンスがあるかもしれない、という記事を別記事に上げましたので合わせご覧下さい。

再建築不可物件でも住宅ローンは借りられる?【無担保住宅ローンとは】
売却されている物件の中には再建築不可物件というものもあります。再建築不可物件は、住宅ローンは原則使えません。再建築できませんので、流通性はほぼ皆無であり、担保価値が無いから当然と言えば当然です。土俵にすら乗りません。ですか...

おまけ:境界トラブル

境界のトラブルというのも銀行的には住宅ローンが通りにくい物件となります。

要は『どこからどこまでが自分の土地かハッキリしていないうえに、隣地と揉めている』という状況です。

ですから現地で確認したり、不動産屋に「境界標」について確認をする必要があります。

境界標

通常上の写真のような「境界標」を設置してある(設置する)のですが、隣地と認識が違う場合、隣地の印鑑が貰えず、解決できない場合があります。

銀行からしたら、将来ローンの支払いが出来なくなった時の担保として抵当に入れるわけですが、「その物件がどこからどこまでかが分からないのであれば貸せませんよ」、ということです。

その場合の対策は、売主様側に頑張ってもらって、例えば土地家屋調査士を入れてでも確定に向けて動いてもらうという事です。

ただしいくら資料を揃えても理屈ではなく、人間の感情などがもつれてトラブルになっている場合がほとんどですから、時間がかかることになります。

まとめ:事前に不動産屋にしっかりと確認をすることが大事

建ぺい率・容積率がオーバーしていたり、未登記部分があったり、境界のトラブルがあったり、越境していたり、再建築できない場合には住宅ローンが使えない物件であることが多いのです。

見学した後で、実は、、、という事が無いよう、事前に見分けるには資料やインターネットで小さく書いてある文字を見逃さないようにしなければなりませんし、不動産屋によく確認をする必要があります。

気にった物件があり、住宅ローンの相談に行った銀行がダメだったとしても、今度は不動産屋から紹介してもらった銀行に行ってみましょう

不動産屋は当然その地域の特徴をよく知っていますので、こういった場合、この銀行なら住宅ローンを貸してくれた、といった経験があるはずです。

上手く不動産屋を利用して気にいった物件で住宅ローンが組めるようトライしてみましょう。

ではまた!

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不動産「売却編」 不動産「購入編」
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この記事を書いた人
エネミー伊吹
エネミー伊吹

40代前半の現役不動産屋。20年以上不動産に携わる。
大学卒業後、住宅メーカーに就職し1年目に全国新人トップを取る。その後自身で設計をし、実家を建て替える。
20代後半から賃貸会社に転職し、不動産のマーケティングを担当する。
現在は仲介不動産会社に勤め、年間200件前後の不動産に携わり、毎年100組以上のお手伝いをする傍ら、ブログを書く日々を送る。
いちごを育てながらカステラを自分で焼く。甘党。

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