マンションはいつまでもつ?【マンションの寿命と耐用年数】

不動産「購入編」

築年数の古いマンションを検討されるとき、ほとんどの方から

このマンション、あと何年くらいはもつでしょうか?

と聞かれます。

今後購入を検討しているマンションが、いつまで住むことができるのか、寿命はいつやってくるのか気になりますよね。

最近では古い物件の部屋をリフォーム(リノベーション)して住む、ということが随分と一般的になってはきましたが、マンション自体のリフォーム・修繕は部屋と違い自分一人の意思で出来ませんし、多額の費用が発生します。

築年数が古いと、外からでは見ても分からない部分が老朽化しており快適に住めないマンションもあるのです。

そこで今回はマンションの耐用年数について、また古いマンションのメリットについて、20年以上の不動産の経験があり、現在マンションの理事長でもある私が解説します。

耐用年数について詳しく知ることが出来れば、古いマンションは選択肢になり得るのかなど、皆さんの検討に役立ちますので是非ご一読ください。

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結論:マンションの寿命は120年、最長で150年住み続けられる

国土交通省が2013年に発表した資料によると、日本のマンションは平均68年で取り壊されています。

ところが一方、国土交通省の調査によればコンクリート造の建物の寿命は120年、リフォーム等の延命措置を行えば最長で150年まで住み続けることができるとも言われています。

これらはあくまで、「新耐震基準の建物で、かつ適切に維持管理・メンテナンス・補修をした場合」に限られます。

それでも思ったより“もつ“イメージなのではないでしょうか。

でも耐用年数って聞いたことがあります。

それはもっと短かったような、、、

そうです、鉄筋コンクリート造のマンションには「法定耐用年数」が定められています。

耐用年数=寿命ではない

マンションの法定耐用年数は、1998年の税制改正によって47年と定められています。

これは毎年減価償却(年数の経過ごとに価値が下がっていくということ)をしていったとすると、最終的に建物の価値がゼロになるのがマンションの場合47年ということです。

 ! ではマンションの寿命はやはり47年ですね、なるほど、、、

違います。

一見、法定耐用年数という文字を見ると、それが寿命の目安のように見え、減価償却などど聞くと何か毎年性能が落ちるかのような錯覚に陥りますが、実際には税金算出のための目安であり、マンションの実際の寿命には何の影響もありません。
賃貸マンションを経営している人が減価償却費を計算する際に使用しているだけです。

つまり耐用年数=寿命ではないのです。

実際築後47年を経過したマンションの固定資産税が建物部分において「0円」にはなりません。


参考までに、木造の戸建ての法定耐用年数は20年です。

ね?
木造戸建てが築20年経過した途端どんどん崩壊していった、なんて見たことも聞いたこともないですよね?

もっと極論を言えば、現存する日本最古の木造建築物である『法隆寺』は築1300年以上です。

では法定耐用年数が寿命を決めないのであれば、何が寿命を決めるのでしょうか。

寿命は維持管理・災害被害の有無・材質・立地等によって異なる

マンションの寿命は、

①新耐震基準のマンションかどうか
②マンション建築で使われた「コンクリートの質」
③入居後に適切な維持管理・メンテナンス・補修をしているかどうか
④地震などの自然災害にあったかどうか
⑤立地環境

これらによって大きく異なります。

新耐震基準のマンションかどうか

1981年6月から施行された新耐震基準は「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7に達する程度の大規模地震でも倒壊は免れる」という現在でも基準とされている耐震基準です。

つまり1981年(昭和56年)6月以前の建物は、コンクリートの性能から鉄筋の量、施工法などが異なっているため、大きな地震に対する耐力が現行基準の建物に比べると残念ながら低い、つまり寿命が短いとされています。

ちなみに日本で一番昔に建てられたRC造の建造物は1916年(大正5年)に建てられた軍艦島にある集合住宅ですが、今は人の手が入っていないという事もあり現在では完全に朽ち果てています。

マンション建築で使われた「コンクリートの質」による

コンクリートの劣化の大きな原因として、塩害や水などがあります。
しかしコンクリートも年々質や性能が向上しており、現在では水に強いコンクリートや、100年もつと言われているコンクリートもあったりします。

マンションが大量に建てられた1970年代のマンションには質の悪いコンクリートが使用されていることもあり、築10年経つと雨漏りが相次いだという問題も発生したそうです。

以前のコンクリートと現在のコンクリートでは質も、それに伴う施工方法にも違いがあるのです。

入居後に適切な維持管理・メンテナンス・補修をしているかどうか

最近のマンションでは新築から11~15年後には一度目の「大規模修繕」が行われます。
それ以降も10年~15年間隔で「大規模修繕」が行われます。

外装の再塗装や、防水工事、鉄部の防錆工事など大々的な工事を行います。定期的に構造躯体や防水・仕上げ、配管などのメンテナンスを適正に実施することによりマンションの寿命は伸ばすことが出来るのです。

ですから、例えばマンション全体で滞納額が多いと、修繕積立金が足りずに、大規模修繕工事が出来なくなったりします。そうなるとマンションの寿命は短くなり、資産価値も著しく落ちることとなります。

※中古マンション購入時に注意すべきポイントはどこにも書いていない、という記事はコチラ

中古マンションの選び方#どこにも書いていない『マンション全体の滞納額』を要チェック
中古マンションを選ぶときに、資料に書いてある項目が多くて何を見たらいいか分かりません、と困っている方は多いと思います。しかし実は『物件資料にも、物件HPにもどこにも書いていない事』こそが、中古マンション...

またマンションのメンテナンスで構造以外にも大切なのが「配管」です。配管にも当然寿命があるのですが、昔のマンションだと構造の中に配管が埋め込まれて一体となってしまっており、メンテナンスがしたくても出来ないというマンションがあります。

実際に私は、こんうりーとと配管が一体になっており配管のメンテナンスが出来ないため、配管を室内(廊下や部屋)を通す形に変えて、新しい配管を作ったローカルマンションを知っています。
配管が部屋の中や廊下を通るわけですから、当然見栄えは悪いし、評価も落ちるので住民は大反対でしたが「それ以外に方法は無い」という事で渋々OKを出したようでした。

地震などの自然災害にあったかどうか

日本は自然災害が多い国です。
特に地震による揺れは、マンションの構造躯体に大きな負担をかけることになります。
大きな揺れを経験した回数が多い地域の場合、そうでない地域と比べると寿命は短くなっている可能性は高いのです。

立地環境にもよる

先ほどコンクリートは水や塩害に弱いと書きましたが、ということは海沿いのマンションと、街中のマンションでは寿命も変わってくるというのがご理解いただけると思います。

陽当りが悪ければカビが発生したり、海に近い立地なら塩害が発生します。

日照・風通し・高さ・気温等々様々な立地環境によって寿命には差が出るわけです。

寿命が来たマンションはどうなる?日本には築100年を超える中古マンションは存在しない

日本で一番古い分譲マンションは東京の新宿区にあった1956年(昭和31年)竣工のマンションでしたが、築63年目の2019年に建て替えがされました。

ですから、日本のマンションで一番長く現存したマンションというのは63年間という事になります。2021年現在、日本では100年を超えた居住用のマンションは存在しません。

では寿命が来てしまいそうなマンションはどうなるのでしょうか。

マンションを建て替える

一番考えられることは『マンションの建替え』です。
ただしこれには住んでいる世帯の5分の4の賛成が必要になります。

建築期間中は1年~2年ほど借り住まいになりますし、何よりも費用の面があります。
例えば、マンションを建て替えるときに、今よりも多くの部屋数が確保でき、新たな入居者が見込めるならば費用負担は抑えられたり、上手く行けば費用負担なしで行けるかもしれませんが、現実的には難しい面があります。

昔のマンションは駐車場が少なかったり、面積も狭かったりと今の標準仕様より詰め込んでいるところが多いのです。増やすどころか戸数が減る可能性だってあるのです。

そういった様々な事情の中、特に高齢車の方からすると、

  • いまさら動くのは大変
  • いまさら新しくなっても先が長くない
  • 年金で費用負担なんてもってのほか

等々賛成する状況ではないことが多いと思います。
そして古いマンションには高齢の方が多くなってきていますので、5分の4の賛成というのは思う以上にハードルが高いのです。

結果、国交省によると建替されたマンションの比率は全体の2%程度しかないそうです。

マンション自体を売却する

建替えに賛成できない住民が多い場合は、マンション1棟ごと売却する方法もあります。

平成26年の「マンション建替え円滑化法」改正で、旧耐震基準で建てられているマンションであれば、住んでいる世帯の5分の4の賛成土地と建物を売却できるようになりました。売却した代金は、各世帯の持ち分に応じて分配されます。

旧耐震マンションは50~60年前後、新耐震は管理状況により80~100年程度

一概には言えませんが、コンクリート自体は新耐震基準の場合100年以上もちますが、建築された時期・コンクリート自体の質・維持管理の状況・自然災害の被害の有無・立地環境によって寿命は異なります。

そして、旧耐震基準(昭和56年6月以前)のマンションの場合60年前後が一つの寿命の目安となります。

それでも古いマンションを選ぶメリットをお伝えすると

・価格がとても安い
・固定資産税が(建物の価値がさがっており)安い
・立地が良い(昔から利便性の良いところを押さえてあるため)

・リフォーム済み物件が多い

ということになります。特に古いマンションは買取業者からは買取りやすく再販売がしやすいため、リフォーム済みで販売されている部屋も多いはずです。

首都圏で、大手ポータルサイトにも掲載されていないリフォーム済みの物件を探せるサイトのご紹介をしてきますので、よろしければご覧下さい。

その分修繕積立金が上がっているケースも多くありますので、あと何年位住めれば良いのか、という事と合わせてご検討ください。

あと何年もつのか、は今後のマンション選びにおいて重要な項目となります。

築年数だけではなく、管理状況も踏まえると良いと思います。
不動産屋に言えば、「共用部分の修繕履歴(※)」が管理会社の報告書から見れますので、参考にしてみて下さい。
※◇年△月 屋上防水工事 等の記録が残っている場合管理会社から開示があります。

ではまた!

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この記事を書いた人
エネミー伊吹
エネミー伊吹

40代前半の現役不動産屋。20年以上不動産に携わる。
大学卒業後、住宅メーカーに就職し1年目に全国新人トップを取る。その後自身で設計をし、実家を建て替える。
20代後半から賃貸会社に転職し、不動産のマーケティングを担当する。
現在は仲介不動産会社に勤め、年間200件前後の不動産に携わり、毎年100組以上のお手伝いをする傍ら、ブログを書く日々を送る。
いちごを育てながらカステラを自分で焼く。甘党。

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