クレームから学ぶ中古マンションの選び方#『重要事項調査報告書』『管理規約』は要チェック

不動産「購入編」

不動産取引においてクレーム事例は数多くあります。
その多くは不動産屋の調査不足、伝達不足、理解不足、怠慢によるものが殆どです。

でももし、少しでも知識があれば、それらのトラブルはご自身の力で何とか回避できたかも知れませんん。
知らないから損をする知識がないから人任せになり失敗する、は嫌ですよね?

世の中のすべての不動産屋が、万能の知識があり、全方向に注意を向けることのできる不動産屋であれば良いのですが、なかなかそうではありません。

人生で何度も経験することのない、不動産の購入において、残念ながら失敗をしてしまった事例から学べることはたくさんあります。

今回は、不動産歴20年以上、年間100組以上のお手伝いをしている現役の不動産屋の私が、クレーム事例から学ぶ、中古マンションの選び方と「重要事項調査報告書」「管理規約」の大切さについてお話をしていきます。

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中古マンション選びは事前に『重要事項調査報告書』『管理規約』をチェックせよ

通常であれば重要事項調査報告書』と『管理規約』の内容については、契約の時に初めて説明をする不動産屋が多いのですが、失敗しない中古マンション選びにおいては先に確認しておくことをおすすめします。

不動産屋に、契約前に

『重要事項調査報告書』と『管理規約』を事前に確認させて下さい。

と伝えてください。
本来そのマンションを預かった時に、管理会社に調査をして手に入れているはずですが、万が一ない場合は取得してもらってください。

それを渋るようであれば、その不動産屋は「契約すると言わないと調査しない、レベルの低すぎるお金のない不動産屋」か、「知られたくない内容があるので何とか騙そうとしている悪徳不動産屋」のどちからです。

それはそれで注意が必要となります。

また「売主の許可が無いと見せれない」も嘘です。
お金を出しているのは不動産屋であり、売主ではありません。

最終的に資料で必ず添付する書類を、事前に見せられないというのはたわ言です。

『重要事項調査報告書』のチェックの仕方

「重要事項調査報告書」とは不動産屋がマンションの管理会社に依頼して作成してもらう、マンションの報告書です。(有料)
※管理会社によっては「重要事項に係る調査報告書」という名称だったりもします。

「重要事項説明書」という、契約の際にマンションに関する様々な内容なルール等を説明するための書類があります。その書類を作成するために必要であり、「重要事項調査報告書」には様々は情報が記載されています。

その部屋(マンション)の

・管理費
・修繕積立金
・そのほかの費用
・滞納額
・管理組合の借り入れ
・駐車場の利用料
・管理費等の値上げ予定
・インターネット回線について
・マンション共用部分の維持管理状況
・大規模修繕の予定
・長期修繕計画

などを知ることが出来ます。

では実際のクレーム事例を見ていきましょう

クレーム事例:修繕積立金が上がるとは知らなかった

修繕積立金は、文字通りマンションの維持・修繕・管理のために住民全員で毎月積み立てをしているお金です。

この修繕積立金は、新築時には安く設定されています。これは販売促進の面もありますが、新築時には建物が新しいため維持修繕があまり必要がないためです。

しかし年数経過とともに、維持管理の費用は大きくなっていくため通常「長期修繕計画」に基づいて、数回に分けて修繕積立金は上がるように最初から計画されています

(例)
新築時月額:4,500円 
⇒ 10年後:9,000円 
⇒ 15年後:12,000円 
⇒ 20年後:18,000円

※ちなみに国交省による専有面積当たりの平均単価は180~210円/㎡程度です。

これを見逃してしまった結果、事前に説明を受けておらず、入居して1か月後に修繕積立金が倍になった、それだと毎月の支払計画が合わないというクレームです。

調査ミスであれば、不動産屋と話し合い、数年間分の差額を補填してもらう解決方法が考えられます。

調査報告書には「●年◇月から修繕積立金は平均○○円上がります」という記載がありますので、必ずチェックしましょう。

管理組合の借り入れ額

修繕積立金が滞納やそもそもの計画が甘く「足りない」ということは起こり得ることです。
しかし足りないからといって、大規模修繕を行わない、というのは現実的ではありません。

その場合には
①現居住者に「修繕積立一時金」を募り、費用負担をお願いするケース
②管理組合で金融機関等に借り入れをするケース

があります。実質①が殆ど採用されません。それはそうです、滞納したほかの一部住民のせいで、健全に収めている大勢の住民がその分を建て替えるなどというのは理解されません。

ですから②になることが多いです。
管理組合として、返返済計画を立てるわけですが、好ましい状況でないのは確かです。
こちらも記載がありますので、現実的な負担が住民にあるのかないのかを確認する必要があります。

クレーム事例:売主に滞納があり、一部しか支払われず請求が来る

売主に、管理費や修繕積立金等の滞納があった場合、普通は売主がその滞納を解消しない限りは所有権を移転させません。負の財産として受け継ぐことになってしまい不利益しかないからです。

事前に解消する(滞納分をすべて支払う)段取りを取ってもらうのが一番ですが、どうしてもお金が用意できない場合は残代金からその場ですぐに支払ってもらうよう不動産屋に段取りしてもらう必要があります。

このお金も住宅ローンの抹消で消えてしまって手元に残らないようであれば、管理会社と売主とで覚書を交わすなり何なりと対応しておかないと、原則、新しい所有者に請求が来ます

今回は、売主の滞納を聞いておらず、不動産屋も対応しなかっため、入居後に滞納分の請求がいきなり来たというクレームです。

売主の滞納額も「需要事項調査報告書」に記載されていますのでチェックしてください。

またこれとは別に「マンション全体の滞納額」については、マンション運営の根幹である修繕積立金について知ることが出来るので、別の記事で詳しく説明をしています。

中古マンションの選び方#どこにも書いていない『マンション全体の滞納額』を要チェック
中古マンションを選ぶときに、資料に書いてある項目が多くて何を見たらいいか分かりません、と困っている方は多いと思います。しかし実は『物件資料にも、物件HPにもどこにも書いていない事』こそが、中古マンション...

クレーム事例:管理費にインターネット使用料が含まれていたのに、個別に契約していた

マンションにはインターネット回線が複数回線が入っていて、入居者はその中から1社を選び、個別に契約をし、費用を支払う形になっています。

しかし中には、管理費の中にインターネット使用料が含まれているケースも存在します。
大抵は1社限定の回線にはなる代わりに、LANに繋げれば、申し込みをしなくても自動で利用できるマンションがあります。

その説明を受けていなかったがために、新たに回線の申し込みと工事をして、費用を払い続けていた、というクレームです。

このインターネット仕様(利用)料金も「需要事項調査報告書」に記載されていますのでチェックしてください。

『管理規約(使用細則)』のチェックの仕方

『管理規約(使用細則)』とは、そのマンション生活におけるルールや、決まり事が書いてある冊子になります。

売主様は新築時に貰っているものですが、規約の改定などがあるかもしれませんので、不動産屋は管理規約の最新版を貰うべく管理会社に依頼をして取得しています。(有料)

管理規約にはマンションの

・バルコニー使い方
・駐車場の仕様ルール・サイズ
・楽器の演奏可能時間
・ペット飼育の可否
・共用部分について
・ピアノなど重量物の設置について

などなど生活に直結するルールが記載されています。

クレーム事例:駐車場が借りれなかった(入らなかった)

多くのマンションは駐車場が機械式になっていると思います。
機械式のため当然サイズ制限があり、車種によっては駐車が出来ません。

このため、事前にしっかりと駐車場の空き状況や、サイズについて把握しておかないと、いざ引っ越しをしたのに駐車場が空いていない、車がサイズ制限で入れないといったトラブルに繋がります。

今回は、ハイルーフ区画が空いていると聞いていたのに、引っ越ししたらその空き区画が埋まっていて借りれなかったというクレームです。

機械式駐車場
機械式駐車場

通常タイプ(高さ1,550mm)とハイルーフタイプ(高さ2,000mm以上)がありますが、大抵ハイルーフタイプから埋まる(軽自動車も高さがある車種が多い)のと、そもそも分母が少ないため、ハイルーフタイプは空いている方が珍しい印象です。

もちろん平面式であれば高さに関しては気にする必要はありませんが、ハイルーフ以上に空きが無いことが殆どだと思います。

そもそも駐車場は今の売主様が借りていたとしても、その権利は引継げない、ということが多くの管理規約に明記されています。

ですから契約時に1台空いていたとしても、売主が契約していたとしても、その駐車場をキープできるわけではなく、あくまでも引渡し時点において空き区画が無ければ駐車場は申し込むことは出来ません。

マンション探し時の注意ポイント

ハイルーフタイプをご希望で、更に敷地内の駐車所確保が条件となると、こういった理由から不動産屋では確保前提の紹介が出来ないため、原則受けてはもらえません。
もしくはマンションがかなり限定(平面のみ、もしくは空台数が現時点で5台以上など)されるため、受けてもらったとしても実際の対応(紹介)の優先順位はかなり下がるかもしれませんので、ご注意ください。

その辺りのルールは個別に管理規約に明記してありますでの、チェックしておいた方が後々トラブルにはなりにくいです。

あとは確認事項として
・そもそも個数分の駐車場があるのか
・2台借りている人には譲ってもらえるのか
・空きが出たときは抽選なのか、早いもの順なのか、
  ウェイティング(待っている上から順番に割り当て)なのか
この辺りも合わせてチェックしておくと良いと思います。

クレーム事例:ペット飼育可能だと聞いていたのに飼育不可だった

マンションはペットが飼育できるマンションと、飼育できないマンションがあります。

犬を飼っておりペット飼育可能なマンションだと聞いて購入したのに、実際に入居したら飼育不可だったというクレームです。

理由はいくつか考えられます
・以前は飼えていたが、その後管理規約の改定により飼育不可になった
・飼える動物の種類が、小鳥や観賞用魚類だけだった(犬猫不可)
・そもそも飼育できていたのが、新築時入居者の1代限定だった

などなど不動産屋の調査不足によるクレームが多いと思います。

ですから普通の不動産屋は管理規約は最近のものを取り寄せたり、それだけではなく、「総会での議事録」を数年分確認しているのですが、レベルが低い不動産屋だとそこまで確認しないためクレームに繋がります。

ペット飼育に関しても、
・飼える動物の種類
・犬猫なら何匹まで
・事前の狂犬病予防注射などの必要書類
・マンション内の共用部分ではケージが必須か否か

等の確認も管理規約の中の「ペット飼育細則」に記載がありますので、要チェックです。

クレーム事例:バルコニーのウッドデッキの撤去を求められた

バルコニーは原則その部屋の所有者しか利用できない「専用使用権」が設定されてはいますが、原則は「共用部分」になります。これは火事や有事の際の避難通路の役割があるからです。

そのため「管理規約」で細かい利用方法が定められてます。
・バルコニーにかけての布団干し禁止
・避難通路を防ぐ、プランターや鉢の設置禁止
・ウッドデッキの設置禁止
・BBQなど火気の使用禁止
・たばこ禁止

などです。

今回は、下階に非難するための避難梯子がある位置に前所有者が設置したウッドデッキが敷いてあり、入居後に管理組合から指摘を受け撤去を求められたというクレームです。

契約時に、
「現在設置されているウッドデッキは管理規約に違反していますが、売主は現況のまま引渡しをします。将来管理組合より指摘があり、撤去を求められることがあり、その場合の費用は買主の負担となります」
といった特約でも入っていたのならば別ですが、説明が無かったためクレームとなりました。

「管理規約の使用細則」に詳細な記載がありますので、ぜひ確認すべき内容でしょう。

クレーム事例:グランドピアノが設置が出来なかった

マンションには、その床の耐荷重の制限から、ある一定の重さのものは設置できない、もしくは事前に管理組合の対策をした上での許可が必要な場合があります。

グランドピアノを設置が条件で、それ不動産屋に伝えていたにも関わらず、その重量規定にひっかかり設置が出来ないというクレームです。

管理規約には、「180㎏/1㎡」といった規定が記載されていますので、大型金庫やピアノをお持ちの場合は事前に確認をする必要があります。

また重さによってはエレベータを利用できないといった制限もありますので要チェックです。

不動産屋に頼らず、『重要事項調査報書』『管理規約』をしっかりと読む

正直読むのが楽しい書類ではありませんが、『重要事項調査報書』・『管理規約』にはマンションで生活する上において、必要なルールや情報が沢山書いてあります。

知っていれば買わなかったのに、と後悔しないためにも「契約前に」チェックすべき書類だと思っています。

もちろん不動産屋に任せるのも良いですが、最終的ににそこに住むことになるのはご自身になります。住むつもりで読むのと、説明のために読むのとでは視点が変わり、気付きも変わる可能性もあります。

色々なクレーム事例から、少しでも学びを得て、失敗しない不動産選びが出来るといいですね。

また、失敗しない中古マンションの選び方には他にもいろんな方法がありますので、合わせてご覧下さい。

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この記事を書いた人
エネミー伊吹
エネミー伊吹

40代前半の現役不動産屋。20年以上不動産に携わる。
大学卒業後、住宅メーカーに就職し1年目に全国新人トップを取る。その後自身で設計をし、実家を建て替える。
20代後半から賃貸会社に転職し、不動産のマーケティングを担当する。
現在は仲介不動産会社に勤め、年間200件前後の不動産に携わり、毎年100組以上のお手伝いをする傍ら、ブログを書く日々を送る。
いちごを育てながらカステラを自分で焼く。甘党。

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