不動産売却#一般媒介を選ぶ人が少ない理由【専任媒介との違い】

不動産「売却編」

不動産売却を依頼するには、不動産屋と契約を締結しなければならず、
「一般媒介契約」と「専任媒介契約」と「専属専任媒介契約」の3つから選ぶ必要があります。

今までに500組以上のお家の売却のお手伝いをしてきた私の経験から言うと

個人の方の場合、8割以上の方が「専任か専属専任」を選ばれています。

今回は分かりやすく、不動産仲介の仕組みを解説しながらも、
「何故一般媒介は選ばれないのか」ご説明いたします。

「一般媒介」と「専任媒介」で迷っておられる方がいらっしゃいましたら是非ご覧下さい。

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結論:取り扱う不動産屋が増えても、反響の数は増えないため

一般媒介と、専任媒介の構造を図にしてみました。

専任媒介
一般媒介

一般媒介であっても、専任(専属専任)媒介であってもどちらも、市場に情報が行き渡る量(ルート)は100で同じです。

専任の場合「レインズ」という不動産流通指定機構に物件の登録義務があります。(一般の場合はありません。)

レインズには毎日全不動産屋が新着物件や、価格変更の情報を掲載していますので、不動産屋はいちいちSUUMOとか各HPを確認しに行かなくても情報が手に入るようになっています。
※一般の方は見れません。

考え方でいうと専任で窓口が一つだから100のうち10しか行き渡らない、という事ではなく、窓口は一つでもレインズへの掲載義務があるため、つまり全業者に情報が行き渡るため100です、ということです。

一般媒介だから、より広く情報が行き渡る、というのは幻想です。

不動産仲介の仕組みを図解で説明

不動産仲介というのは、間に入って人と人を結びつける仕事です。
売却の依頼を受けて、成功報酬で仲介手数料を頂戴します。

買主様との仲介の形

例えば買主様に物件をご紹介して、気に入っていただければ契約をする形は以下の通りです。

買主と不動産屋の関係

そして仲介手数料を頂戴します。「⇔」はサービスの対価として仲介手数料を頂戴する。という形を示しています。あくまでもその仲介業者に支払うだけで、売主様側の不動産屋がどこであっても関係ありません。

売主様との仲介の形(片手契約)(両手契約)

売主様に売却の依頼を受け、無事に買い手が見つかった場合は、売主様は不動産屋に対して、サービスの対価・成功報酬として仲介手数料を支払います。

この時、買主様側についてはどこの不動産屋のお客様でもであれ、売主様側の仲介手数料には関係ありません。

依頼した不動産屋が買主も直接見つけてきた場合は、「両手契約」と言って、売主様・買主様両方から仲介手数料がもらえる形となります。(どちらか一方だけの場合は「片手」と言います。)

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両手契約・片手契約に優劣はありません。

一般媒介のメリット・デメリット

一般媒介というのは、複数の不動産屋が窓口になるタイプの契約です。

一般媒介の形

このように、売主様に対して不動産屋が並列となります。
ここから購入を検討している方に対して、各自物件を紹介をしていきます。

一般媒介の形
一般媒介の紹介の形

各不動産業者のホームページに掲載され、それぞれのお客様へ情報が行き渡るため、市場には情報が100%行き渡ります。そしてレインズには依頼した数だけ同じ情報が掲載されることになります。

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一般媒介のメリットは複数の窓口・限定販売可能

  • 窓口を複数の不動産屋に依頼することが可能
  • レインズ掲載義務がないため、世間に知られず販売が可能

複数の不動産屋に窓口になってもらう事が可能なため、多くの不動産屋に依頼をすることが出来ます。大手も・中堅も・地場業者にも、知り合いの不動産屋にも重ねて依頼が出来ます。

また「専任」の時はレインズに掲載義務があるため、全不動産屋の目に必ず触れる形の販売しか出来ませんが、「一般」の場合には、レインズ掲載義務がないため、レインズに掲載せずに、依頼した不動産屋の手持ちのお客様限定で販売が出来ます。

一般媒介のデメリットは手間で、優先度が低く、放置の可能性も

  • すべての取りまとめは自分で行う必要あり
  • 不動産屋によって必ずしも仲介手数料が発生しないため優先順位が低い
  • 売れなくてもどの不動産屋も責任を感じにくい
  • SUUMOなどのポータルサイトに同じ物件が並び希少価値が下がる

窓口が一元化されていないため、取りまとめは「売主様ご自身」でしていただく必要があるります。
特に案内の日時の調整や、商談時や価格変更時の、その他連絡事項は、全てご自身で各不動産屋と行っていただく必要があります。

特に価格はどこも同じ条件で販売しないといけないため、同時に合わせて価格変更をしなければ、連絡が来ていない不動産屋から文句を言われることもあります。

また、媒介契約の形上、仲介手数料が発生しない不動産屋が出てくるため、紙面へ広告掲載される優先順位が下がったり、専任物件が多い大手などでは広告掲載されなかったりします
(ネットは専任も一般も全て掲載されます。)


そして、ここが一般媒介の一番大きな仕組みになりますので、よく聞いてください。
複数の不動産屋に依頼をしても、売主様から仲介手数料を受け取れるのは1社だけです。

パターン1:一般媒介でも両手ケース

窓口の不動産屋が複数でも、自社で購入者を見つけてこれば、仲介手数料は両方からいただけます

一般媒介の仲介手数料の流れ①
一般媒介の仲介手数料の流れ1

ただし、この場合、不動産屋Aと不動産屋Bには一銭も入ってきません。
成功報酬のため、どれだけお金をかけていたとしても、請求は出来ません(しません)

パターン2:買い手は別の不動産屋から、しかし売主様側の窓口として片手契約

一般媒介、仲介手数料の流れ2
一般媒介の仲介手数料の流れ2

これは、購入者を自ら見つけることが出来なかったものの、他の不動産屋が売主側の窓口として指定してくれたため、売主様側からは仲介手数料を受け取ることが出来ます。

この場合も不動産屋Aと、不動産屋Bには一銭も入ってきません。

パターン3:買主様側にも、売主様側にも絡めず無報酬

一般媒介の仲介手数料の流れ3
一般媒介の仲介手数料の流れ3

購入者も自身で見つけることが出来ず、売主様側の窓口にも指定されなかった場合は、当然どちらからも仲介手数料はいただけませんので無報酬となります。

これらを見てどう思われますか?

不動産屋からすると、もちろん精一杯販売活動をします。
でも、ご縁の関係で、どれだけ販売活動をしたとしても、一銭も入ってこないリスクもあります。
(後で述べるように「専任」の場合は、少なくとも売主様側からは確実に頂戴出来ます。)

そうなった時に、いじわるではなくとも、専任物件より紹介順位や、広告掲載の頻度が下がる理由がお判りいただけたかと思います。

また、仮に売れなくて売主様からご指摘等いただいても
「他と一緒にやってるから、他に言ってよ」と思う気持ちはおそらく0ではありません。
また売れなくても、「他と一緒だから」と責任を感じにくい部分もあると思います。


実際に合った話

ある売主様が、5社一般媒介で、中古戸建てを販売していておられました。
私のところはその5社の中には入っていませんでした。

その物件は相場よりずいぶん高く、全く案内も問い合わせもないまま1年が経過していました。

どうしてどこの不動産屋も価格変更の提案しないの?
と思うかもしれません。私も思っていました。

後で事情を聴くと

不動産屋A
不動産屋A

こちらが一所懸命分析して、価格変更の提案して、価格が下がったとしても、それで他の不動産屋に契約されたら嫌だから、提案しなかった。

さっきのパターン3の事を言っているのですが、実際にはこれは私が聞いた話です。

だから不動産屋は嫌いなんだよ、と言われても仕方ないとは思いますが、一般媒介の場合
不動産屋が競い合うどころか、このようにどこも力を入れない場合だってあり得るのです。

ちなみに、その後私のところに相談をいただき、何も動きをみせなかった全ての会社の一般媒介を全部解除され、専任で任せていただきました。そして、適正な価格を提案したところ1か月で売却が出来ました。

不動産屋を競わせるつもりでも、不動産屋は優先的には動かない(かも)

悲しいですが、こういった事実もあります。

ポータルサイトに同じ物件がずらりと並び検索しにくい

窓口になった不動産屋はホームページやポータルサイトに掲載をします。

さらに自身でお客様を見つけられなかった時のことも考えて、他の不動産屋に広告を貸します
これは、広告を貸すので、自社HPとかSUUMOに物件を載せてもいいですよ、という事です。

そうすれば、自身で見つけられなかったとしても、広告を貸した不動産屋から窓口として指定してもらえるように、です。(パターン2)
複数の窓口の不動産屋が、複数の不動産屋に広告を貸し出す、、、

その結果、、、、

SUUMOなどのポータルサイトに、何十件と同じ物件がずらり掲載されることになります。
見たことありますよね?

あれ見てどう思われるかは、わかりませんが、私は
「売り急いでいらっしゃるのかな、、」とか思ってしまいます。

何より検索しにくくて、物件の印象まで悪くなる可能性もあります

もちろん、多くの人の目に触れるからそちらの方がいい、というご意見には反対しません。

専任媒介(専属専任媒介)のメリット・デメリット

専任媒介もしくは専属専任媒介というのがこの形です。
※この2つは違いがありますが、ほぼ同じなので今後ここでは「専任」で統一します。

専任媒介、専属専任媒介の形

売主様の窓口は1社だけに任せる形(専任)となります。

ここで良く誤解があるので説明しますと、

専任で依頼したところのお客様以外にもきちんと情報は届く

専任媒介にすると、その依頼した不動産屋の手持ちのお客様のみにしか物件の情報がいかないのではないか、と誤解されている方もいますが、そうではありません。下の図を見てください。

もちろん専任で依頼されたところも、一生懸命買主様を探しますが、
この情報は『レインズ』に必ず(専任の場合は必ずです)掲載されますので、不動産屋がいちいち営業をかけなくても、全不動産屋はこのレインズで毎朝情報をチェックしていますので、手持ちのお客様どんどん紹介をするのです。

つまり、100%情報は行き渡ります。
窓口が1社というだけで、情報の拡散については、一般媒介と何ら変わりはないのです。

専任媒介のメリットはお任せ・優先販売・専任専用サービス

  • 窓口が一社のため、売主様自身でスケジュール調整や案内段取り等しなくてもよい
  • 紙面広告などは専任媒介物件優先
  • 大手の一部では専任媒介の時のみ受けられるサービスがある

窓口の会社に全てお任せ

窓口を一つに絞れるため、その不動産屋に案内が被った時の時間の調整や、段取りをお任せ仕手おけば大丈夫です。

また、情報が一元化出来るので、ホームページの閲覧数がばらけず、ホームページの閲覧数の把握・分析が可能になります。このことにより、市場が興味を持ってるのか、そもそも見てもらえていないのか、が容易に分かります。(分析する仕組みがない不動産屋のありますで注意です。)

専任物件は優先される

買い手を自社で見つけようが、他の不動産屋から紹介してもらうが、少なくとも売主様側から仲介手数料を頂戴できる仕組みになってますので、当然力が入ります。

特に紙面のように限られたスペースで複数の物件から選ぶ必要がある時は、情も優先したいですが、現実的には専任物件から優先されます。

専任専用のサービスがある

一部大手では、専任契約ならば

  • ハウスクリーニング無料
  • 荷物処分一部無料
  • 庭の雑草管理1年無料

といった無償のサービスがキャンペーン等で利用できることがあります。

上手く使えば、より高く売る手立てとなると思います。

また大手が行っている建物保証サービスや設備補修サービスは一部の会社では、専任でしか受けれない場合があります。
※各社の比較についてはコチラの記事をご覧下さい。

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デメリットは囲い込み?

  • 窓口が1社に限定される
  • レインズに必ず掲載しなければならない
  • 囲い込みのリスク

窓口が1社のみ

窓口が1社のみになるため、万が一「外れ」の不動産屋にあたってしまうと原則3か月は専任媒介の解除は出来ません。

ただし現実的に、販売のための努力義務を怠っている場合は、解除できます。
それで違約金だ何だと言ってきた場合は、国交省か各都道府県の宅建協会に相談してみてください。

過去、実際に
・アピールポイントを売主様側から提案したにもかかわらず、HPに掲載しなかった
・HPの写真が曇りのままで、差し替えしなかった
・ポータルサイトに掲載しなかった
・媒介報告義務を怠った(普通に宅建業法違反です)
 ※毎週、今週はこんなことをしました、案内はこうでしたといった報告が義務付けられています。

これらの理由で、途中で違約金なしで解除できた例は沢山あります。

レイズに掲載義務あり

レインズには必ず掲載しないといけないため、窓口の不動産屋のお客様だけで販売してほしい、という要望に応えるためには一般媒介にしなければなりません。

インターネットにも掲載せず、広告もせず、だれにも売っているのを知られたくないという場合にも専任契約は向きません。

その場合はネット以外での一般の方への周知は原則難しい時代であるため、もはや買取になることが多いですが、、

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囲い込みのリスク??

「囲い込み」とは、専任の不動産屋が、「両手契約」を狙うため、他の不動産屋に故意に案内や紹介をさせないといった方法です。
例えば、商談が入っていないにも関わらず、「商談中ですので案内は出来ません」といったように、売主様に伝えもせず、自分のところで情報を止めるやり方で、確かに一時期問題になりました。

よく専任と一般の比較の話として

「専任媒介は囲い込みされますから、一般の方がいいですよ」

といった話を見かけますが、現場の人間からするといつの時代の人だろう?と思います。

平成28年1月に、売主様が公開状況を確認できるようになり、実質囲い込みは出来なくなっています。囲い込みというのは、不動産屋が売主に嘘をついている、状況ですからその嘘がばれたら、即媒介契約解除されるわけですね。

そこでレインズにステータスが掲載されるようになり、売主様は自分の物件が「公開中」、なのか「商談中」なのかを確認することが出来るようになったのです。

それでも、レベルの低い一部の不動産屋ではまだそんなことをしているのも事実です。
ただし簡単にばれます。


実際に合った話

私がお客様にこれ見たい、といわれたので私がその物件を預かっている不動産屋に連絡をしたら
「契約予定ですので案内できません」と言われました。

そこでお客様から確認を兼ねて、直接その不動産屋に連絡をしたら
「見れます、いつがいいですか?」
と返事があったようです。

当然私の知るところとなったため、しかるべき対応を取った結果、その会社のその担当は飛ばされました。大手のTという会社でしたが、会社としても囲い込みは厳しく禁じているため、見せしめの人事となった様です。

安易な対応は本当に出来ませんし、そんなウソはすぐばれます。

まとめ:競わせる以外で、複数業者に依頼したいときは一般媒介

一般媒介だからといって、情報量が増えるわけではありませんし、裾野が広がるわけでもありませんし、反響が増えるでもありません。専任と全く同じです。

8割以上の一般の方が専任媒介を選ばれる理由は、一般媒介のメリット・デメリットを比べたときにデメリットが大きかったという事だと思います。

もちろん一般媒介がダメだと思いません。
どうしてもご事情で複数業者に依頼したいときなどは、一般媒介しかありません。
ただし、

「囲い込みされたくなくて、更に複数の業者に競わせたら、高く売れるだろう」
という理由の場合には素直におススメしません。

それぞれのメリット・デメリットを比較して、ご自身のご事情の中で選択をしてください。

どちらが正解かなんて分かりませんし、実際に売ってみなければわからなのが不動産ですが、最初の数か月はとても重要なのです。
そこで無駄な時間を過ごさないためにも、よくご検討ください。

何かの参考になれば嬉しく思います。

ではまた!

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不動産「売却編」
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この記事を書いた人
エネミー伊吹
エネミー伊吹

40代前半の現役不動産屋。20年以上不動産に携わる。
大学卒業後、住宅メーカーに就職し1年目に全国新人トップを取る。その後自身で設計をし、実家を建て替える。
20代後半から賃貸会社に転職し、不動産のマーケティングを担当する。
現在は仲介不動産会社に勤め、年間200件前後の不動産に携わり、毎年100組以上のお手伝いをする傍ら、ブログを書く日々を送る。
いちごを育てながらカステラを自分で焼く。甘党。

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