離婚による不動産売却の流れ+離婚に詳しい不動産屋の見分け方【財産分与】

不動産「売却編」

ここ数年相談で増加しているのが「離婚」による売却相談です。
夫婦の3組に1組は離婚すると言われている昨今、現在所有している不動産をどうすればよいのかお悩みの方も多いと思います。

不動産は現金のように分けることができないうえ、名義人は誰か、住宅ローンの名義人や保証人はだれか、ローンの残債はいくら残っているか、、、など、権利関係が複雑です。

ですから離婚の際に不動産の分配については頭を悩ませている方はとても多いのです。

そこで今回は、毎年離婚による売却のお手伝いを10件ほど(年々増加している気がします、、)お手伝いしている私が、ケース別にどのように不動産屋に相談をすればよいか、お答えいたします。

これをみれば、離婚をするときの不動産売却の事前のチェックポイント、また相談しようと思っている「不動産屋が離婚による売却に詳しいのかどうか」の見分け方が分かります。

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離婚時の不動産売却までの5ステップ

①不動産(自宅)が財産分与の対象なのかどうか確認する

   ↓

②不動産に住宅ローンがまだ残っている(残債)かどうか確認する

   ↓

③離婚に向けた現在の状況を確認する

   ↓

④査定を依頼する

   ↓

⑤売却するかどうかを判断する

不動産が「財産分与」の対象になるのかならないのか確認する

まず第1ステップとして、自宅が財産分与の対象かどうかを確認する必要があります。

離婚の際には、結婚「後」に購入(所有)することになった不動産を平等に分ける必要があり、これを財産分与といいます。

財産分与では登記簿の名義は関係ありません。
仮にご主人様(奥様)の単独名義であっても、例外ではありません。
夫婦で共有している財産とみなされ財産分与の対象となります。

ただし、以下のような家は財産分与の対象にはなりません。

  • 結婚する前に購入した不動産
  • ご主人様(奥様)が親から相続された家
  • ご主人様(奥様)が結婚前の貯蓄で購入した家

※この場合であっても結婚後に夫婦が協力したことによって価値が維持されたといえる場合には、貢献度の割合に応じて財産分与の対象とされる場合もあります。

ですから、まず今所有の不動産が「財産分与」の対象になるのかならないのかを確認する必要があります。

そしてこの「財産分与」「共有財産」という単語が相談の際に出てこない不動産屋はおそらく離婚による売却を経験したことが無い可能性が高いので、要注意です。

住宅ローンがいくら残っているかを確認する

第2ステップとして、今の残債額がいくらなのか把握しておく必要があります。

これは年末頃に届く「ローン残高証明書」でもある程度判断は出来ますし、無い場合は現在借りている金融機関に問い合わせれば確認できますす。

不動産の査定価格とローンとでどちらの金額が大きいかを把握する

当然売却にも諸費用がかかりますので、仲介手数料や印紙代や登記費用、場合によっては税金を差し引いた「手残り額」も把握する必要があります。

却可能金額>残債額であればとりあえずは問題ないのですが、残債額>売却可能金額である場合、不足分を手出ししてまで売却するのかどうか、を決断する必要があるからです。

手出しできずに、売却してもローンが完済できないケースというのは、通常の売却方法では原則売却出来ない状況です。※残債が消せないと所有権移転が出来ないため

このケースでは、金融機関などの債権者と交渉し、売却金額でローンの抵当権を抹消してもらう『任意売却』という形で進めて行くことになります。そして、売却しても残ってしまう残債については、金融機関(もしくは債権回収代行会社)と話し合った上で別途返済して行くことになります。

離婚に向けた現在の状況を確認する

第3ステップとして、不動産の査定前に、離婚に向けた現在の状態を確認する必要があります。
これは査定を出すにしても、自分の意志だけで依頼してよいかどうかが変わるためです。

そしてここでも、査定をする不動産屋が「離婚による不動産売却に詳しいかどうか」が分かります。

もし、離婚に向けた現在の状態を確認しない不動産屋であれば、離婚による売却を経験したことが無いと言えます。何故なら現在の状況を確認しないと、場合によっては逆に依頼人に迷惑をかける可能性があるからです。

離婚協議中の場合

現在ご夫婦だけで「協議」をしている段階であれば、原則所有者(この場合ご主人様)から査定の依頼をして、現在の「流通」価格を確認してください。

たまに奥様側からご主人様が信頼できないからと言って内緒で査定に出されるケースも目にします。
しかし不動産会屋は原則登記名義人からの依頼しか査定の受付をしないことが多いので、その場合には不動産屋には「離婚による家の評価を知りたいです」等、きちんと理由を書いた方が良いと思います。

そうしないと例えばすでに奥様側だけ別居中の場合、
不動産屋によっては居住中の場合には査定住所にしか査定書を送れない、というルールがあるので、ご主人に結局ばれてしまうといったことになり、揉めてしまう原因もなりかねませんのでご注意ください。

離婚調停中の場合

話し合いが暗礁に乗り上げてしまった場合は、裁判所による調停を申し立てる方法があります。

調停中の場合は、調停員の指示で査定をするようにしてください。
勝手に動くと場合によっては相手方や調停員の心証が悪くなります

離婚裁判中

話し合いでも結論が出ず、調停でもまとまらなかった場合は、離婚裁判で争うことになります。

その場合は弁護士先生や裁判所の指示に従ってください。勝手に依頼することは今後の裁判において不利になる可能性がありますので、ご注意ください。

不動産屋としても「裁判所や弁護士さんからの書面や指示による査定依頼」でなければ本来動けない状況です。※何も知らずに査定書を出してくれる不動産屋もあると思いますが、、

売却を伴わない場合の査定書は裁判では使えない

ちなみ大抵の(特に大手)の不動産会社の査定書には

「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づく不動産鑑定評価書に代わるものではなく、他の用途に使えません」

という記載があります。
あくまでも「流通」としての査定書であり、「売却を伴わない場合の不動産の価値を示すものではない」と言っているのです。

つまり、売却を伴わない場合には、原則不動産屋の査定書は裁判では使えない、という事ですので、依頼先が不動産屋で良いのかどうか、不動産鑑定士に依頼をしないといけないのか確認が必要になります。

売却のための査定をするときの注意点

第4ステップとして、査定依頼をする必要があります。
基本的には「一括査定」で良いと思います。各社無料で査定をしてくれます。

※おススメの一括査定についてと、一括査定の注意点については別記事をご覧下さい

不動産査定はどこに頼めばいいの?早く・高く売れるオススメ無料一括査定サイト教えます
不動産の売却を考え始めた方が最初にすることは「不動産の査定を依頼する」ことです。でも不動産会社は沢山あるから、どこに頼めばいいのか分からない、、沢山頼むのも大変そう、、と思っておられる方は多いのではない...

ただし、住宅ローンの残債が残っている場合には、要注意です。
重要なポイントは、「売りたい金額」ではなく「現実的に売れる金額」を教えてもらうことです。

離婚に伴う財産分与ですから、基本的には一定期間内に売れなければなりません。

不動産屋は基本的に、依頼者に気に入られるために相場より高い金額を提示をします。
実はその査定金額が相場金額ではなかったために、見込んでいた金額で売れず、結局ローンの残債が返済できない、という最悪の状況に陥ることを避けなければなりません。

※適正な査定金額を提示してもらう方法などは別記事をご覧下さい。

【不動産査定】高い査定=高い評価ではない理由【適正な査定額を提示してもらう3つの対策】
不動産売却を検討している皆さんが、まず知りたいのが「いくらで売れるの?」だと思います。おそらく多くの方が『不動産査定』を依頼をして、不動産の査定額を知ろうとするはずです。自分の不動産がどれでけ価値があるか楽しみでもあり、不安でもあ...

最終的に売却するかどうかを判断する

最後第5ステップとして、提示された査定金額をもとに、最終的に売却するのか、売却しない(出来ない)のかを判断する必要があります。

特に売却しない場合には多くの選択肢の中から、不動産の今後について決定していく必要があるのです。

売却をする場合

双方が、家から出ていくパターンです。

この場合

・どの不動産屋で売るのか
・いつから売却を開始するのか
・空家で売るのか居住中のまま売却するのか
・居住中の場合、窓口は誰なのか
  (所有者なのか、弁護士なのか、居住している人間なのか)

など決める必要があります。

裁判や、離婚にはある程度お金がかかる場合もありますし、場合によっては慰謝料や養育費など必要になります。

ですから中古物件の売却の際には、引き渡し後のリスク(費用負担)についてよく考える必要があります。
オススメは中古でありながら、万が一の欠陥が見つかった時に売主が本来負うべき費用を負担してくれる大手仲介会社です。

慰謝料を払った後、さらに家に不具合(例えば雨漏り)が見つかり修理費用に300万円必要になった、なんて笑えません。

※大手仲介会社の「中古物件なのに保証がついている」記事についてはコチラ

その中古物件、保証ついてますか?【三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブル・野村の仲介+の保証サービス解説】
中古の不動産(戸建て・マンション)の購入時に、皆さんが一番心配なのは「このお家は、本当に大丈夫? 欠陥住宅じゃないか不安、、」という事だと思います。特に築年数が新しいならともかく、築年数が古い戸建やマンションの場合心配ですよね?...

また、どうしても時間をかけて売る余裕がなく、早急に売却したい場合には、諸事情で売却しにくい不動産専門のマッチングサイトもありますので、一度利用をしてみるのも良いでしょう。

いわゆる「お困り不動産」といわれる、売却しづらい不動産でも、それぞれの事情に強い不動産会社とマッチングしてくれる今までの一括査定サイトには無い仕組みが特徴です。

売却しない場合

どちらかがそのまま家に残る場合です。

売却しない場合は、誰が所有し、誰が居住するのか、誰が住宅ローンを負担するのかを決めなければなりません。

ここでは仮に所有者である夫側が出ていき、所有者ではない妻側が現在の自宅に残る場合でご説明いたします。

妻側が自宅に住む場合として、以下の4つのケースが想定されます。権利関係やお金の動きが複雑になりますので、よくよくご検討いただく必要があります。

①不動産の所有権を妻の単独名義に変更し、住宅ローン名義は夫のままとするケース

これは「所有も実際に住むのも妻」で「ローンの支払いは夫」となることから、妻に『得』であるように見えがちですが、夫がローンを滞納するかも知れないというリスクが考えられます。

また、売却査定の結果、売却可能金額>残債額になるようであれば、査定額から残債額を差し引いた金額のうちの半分を、財産分与として妻から夫に支払う(売却せずに支払う)必要が生じる場合もありますので、一概に『得』とは限らず、財産は結局ほぼ均等に分配されますし、今後の維持管理・電気・ガス・水道等の費用も継続して支払うも必要があります。

②不動産の所有権・住宅ローン名義ともに夫のままとするケース

これは、妻側が金銭的な負担を一切せずに住み続けることができるので、さらに『得』な感じに見えますが、同じく夫が滞納するリスクが懸念されますし、実際にはあまりないケースです。

③不動産の所有権・住宅ローン名義を妻に変更するケース

このケースでは、①と同様に売却可能金額>残債額の時の支払い(売却せずに手出しで)を考慮する必要があります。

更に妻側は今後ローンを返済していことになりますので、負担が大きくなります。

そしてここで重要なことは、妻として住宅ローンの新たな審査を経なければならないことです。
当初、夫の属性から承認されたローンですので、妻の収入によっては、別途保証人等の対策が必要であり、妻の属性によってはそもそも審査の承認が得られない可能性もありますので、場合によってはこのケースを選択できない可能性もあります。

④不動産の所有権・住宅ローン名義は夫のままで、妻が家賃を払って住み続けるケース

これは、最も現実的な方法ではないでしょうか。
妻側(子供)の生活環境を変えなくても良いですし、妻や子供の友人関係等の環境も維持できます。また、夫が家賃収入を得られるため、①や②のようなローンの支払いの滞納リスクへの対策ともなり得ます。

このように、離婚後の住宅ローンについてはいくつかのパターンが存在します。

・離婚した後も、売らずに家に住み続けたい方
・ローンも不動産も両方名義を1本化

などなど、住宅ローン診断士によるアドバイスもおススメいたします。

まとめ:離婚時の不動産売却については、その経験がある不動産屋を選ぶ

①不動産(自宅)が財産分与の対象なのかどうか確認し
②不動産に住宅ローンがまだ残っている(残債)かどうか確認し
③離婚に向けた現在の状況を確認し
④査定を依頼をし
⑤売却するかどうかを判断する

このように離婚における不動産の売却や、その流れについては複雑であり、段階ごとのアドバイスについてはある程度の専門的な知識を要します。

離婚による話し合いで多大な労力を要するのに、更に売却で消耗するのは得策ではありません。
その為には離婚経験がある不動産屋が良いとまでは言いませんが、離婚時の売却を経験したことのある不動産屋であれば、より良いアドバイスが得られるはずです。

私は過去に夫側から「買い取らせるので妻に内緒で、出来るだけ高い査定をしてほしい」、そして妻側から「買い取りたいので夫には内緒で、出来るだけ安く査定してほしい」と同時に受けて困ったこともあります。

双方とも売却が絡まない査定でしたし、残念ながら適正な金額の提示という形でしかご協力することは出来ませんでしたが。

不動産屋によってはその場合そもそも協力を拒まれる場合もありますので、伝え方にはご注意下さい。
(はなから売る気はない、といわれたら大抵の不動産屋は利益にならない仕事として、おざなりの対応しかしてくれないと思います。)


離婚については一時的な感情に左右されることなく、先々も十分に考えて決めて行く必要があります。ただ、大きなお金が絡む問題です。しっかりとした手順を確認し、冷静に話し合って進めていくようにしましょう。

離婚後も相手方の、そして子供の人生は続いて行きます。
その為にも、適切な売却が出来るよう勧めていきましょう。

ではまた!

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不動産「売却編」
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この記事を書いた人
エネミー伊吹
エネミー伊吹

40代前半の現役不動産屋。20年以上不動産に携わる。
大学卒業後、住宅メーカーに就職し1年目に全国新人トップを取る。その後自身で設計をし、実家を建て替える。
20代後半から賃貸会社に転職し、不動産のマーケティングを担当する。
現在は仲介不動産会社に勤め、年間200件前後の不動産に携わり、毎年100組以上のお手伝いをする傍ら、ブログを書く日々を送る。
いちごを育てながらカステラを自分で焼く。甘党。

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