【事故物件】人の死に関する告知のガイドライン【どこまで言う?】

不動産「売却編」

この家、5年前に一人で住んでいた母親が病気で亡くなり、10日後に私が発見したのですが、これって事故物件になるでしょうか?

告知しないといけないのでしょうか、、、?

不動産において『人の死』に関する告知のルール(ガイドライン)というものは、今まで存在しませんでした。

トラブルになり裁判になる度に判例が出てきましたが、普通の不動産屋が知り得る機会が少ないのも事実ですし、その凡例通りに告知をしている不動産屋も多くはありません。

「事故物件の告知義務について」は以前このブログで取り上げて記事にしました。

【事故物件】心理的瑕疵あり不動産の告知義務【キーポイントはご近所にあり】
不動産を検討する中で、その物件が「心理的瑕疵あり」「告知事項あり」と言われたら何があったのか気になりますよね? また、これから売ろう(貸そう)としている不動産が「心理的瑕疵あり」「告知事項あり」に該当するとき、売れるのか(貸せるの...

この記事を読む前に一度と目を通していただくとより理解が深まると思います。

今回はその後、国交省から「人の死に関する告知について」ガイドラインが発表されましたのでその内容について不動産歴20年以上の現役不動産屋が述べていきます。

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「人の死に関する告知」のガイドラインが作られた背景

不動産取引において、「人の死に関する告知」というものは裁判の判決事例はあるものの明確な基準(ガイドライン)というのは存在していませんでした。

そのため例えば賃貸において、人の死があった部屋に、
①まずダミーで入居者を1回住まわせる
②すぐ退去(もしくは最初から入居しない)
③何もなかったかのように再募集
④一度違う入居者を挟んでいるため、直近の入居者ではないという理由(手口)で、人の死に関する告知をしないという「事故物件ロンダリング」をしている悪徳不動産屋も存在します。

ガイドラインがないため、すべての告知に関して現場判断になるため、大手仲介や大手賃貸会社でも統一のルールを定めているところは少ないと思います。

例えば私のように
後から近所や他人から聞いた時に少しでも気になる可能性があれば、事件性の有無に関わらず先に告知する」という対応をする場合もあれば

「事件性がなければ一切告知しない」
「3年経過すれば告知しない」
「近所が知らなければ告知しない」
といったように例え同じ会社であってもバラバラの対応になってしまうケースがあり得るのです。

そこで、2020年2月より国交省による検討会が設置され、宅建業法上負うべき義務の解釈や、裁判事例に基づいて議論が進められ、2021年10月にガイドラインが制定されました。

結論:取引において重要な影響を及ぼすと思われる場合には、告知しなければならない

告知に関しては、大原則として

人の死に関する事案が、取引において重要な影響を及ぼすと思われる場合には、告知しなければならない

とあります。
いわゆる「知っていれば購入しなかった(借りなかった)」というケースです。

その原則の中で、「告知しなくてもよい場合」というガイドラインがあります

告知しなくても良いケース・告知しなければならないケース

① 取引の対象不動産で発生した、「自然死」・「日常生活の中での不慮の死(転倒事故など)」については原則として告知しなくてよい

解説:いわゆる事件性のない、病死や、不慮の事故による死については、今回明確に告知しなくてもよい、ということになりました。

つまり部屋の中で病死していたとしても、もしくは部屋の中で転倒して打ち所が悪く亡くなってしまった場合でも、事件性が無ければ告知しなくても良いのです。

②(賃貸のみ)対象不動産の共用部分(エントランス・廊下・エレベーターなど)で発生した①以外の死、特殊清掃等が行われた①の死が発生した場合は、概ね3年が経過していれば告知しなくてよい

解説:賃貸のみの話ですが、一般的にアパートやマンションにおいて日常使用する出入り口や廊下、階段等で発生した事件性のある死(マンション内での自殺等)でも概ね3年経てば告知しなくてもよいと定義されました。

また、売買においても①のように事件性がなかったとしても、その死後、長期間発見されず、特に夏場等で死体の状況からその清掃に特殊な作業を要した場合も、概ね3年経てば告知しなくてもよいと定義されました。

    ※イメージです

この特殊清掃というのが、我々不動産屋の中では、影響の有無についてよく議論になっていましたが今回、明確な定義ができました。

冒頭で出ていた質問ですが、病気で亡くなって、その後発見が10日後、というケースですがガイドラインでいうと
(1)発見時の状況により特殊清掃をしたのであれば3年以内であれば「告知しなければならない」となります。

(2)発見時の状況により特集清掃をしたが3年を経過している、もしくは特殊清掃をしていないのであれば「告知はしなくても良い」となります。

③ 対象不動産の隣接住戸や、日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した①以外の死・特殊清掃が行われた①の死も告知しなくてもよい

対象不動産の上下左右などの住戸や、普段使わないマンションの共用部分(管理員室とか受水槽室とか?)については、ケースを問わず告知しなくても良いとのことです。

ただし

この①~③についても事件性、周知性、社会与えた影響が特に高い場合は告知しなければならない

人の死の発覚から経過した期間や死因に関わらず、買主・借主から事案の有無について問われた場合や、社会的影響の大きさから買主・借主が把握しておくべき事情があると認識した場合は告知する必要がある。

この辺りが一番難しいところになりますが、解釈とすれば結局
後から近所や他人から聞いた時に少しでも気になる可能性があれば、事件性の有無に関わらず先に告知する
という事になるのではないでしょうか。

例えば不慮の死であったと新聞などで報道されているのですが、その亡くなった人物が反社会的組織に関する人物でああったため、世間では事件だと受け止められている「龍が如く」状態(?)の時とかでしょうか。
うまく言えません(笑)

事故物件かどうか気になるであれば事前に聞いておく

宅建業者は売主(貸主)に対して、「過去に生じた人の死について、告知書に記載を求めること」で、通常の情報収集に調査義務を果たしたこととする。

まず不動産屋は売主や貸主に「過去にこの物件(部屋)で事件・事故・不審死などあったかどうか、告知をしてください」と言わなければなりません。
つまり購入時(賃貸時)に人の死に関する告知の有無に対して書面(告知書など)が作成されていなければならないということです。
そういった書面なしでの契約は、不動産屋として「通常の調査を怠った」、と見なされるということです。

もし、物件、もしは不動産屋のレベルが心配であれば内覧前に一言

この物件(お部屋)は「人が亡くなったりしていませんよね?
告知書のようなものはありますか?

と聞いておけば、後で万が一事故物件と露見した場合は、何らかの身を守るすべになります。

まとめ:購入(賃貸)の判断にあたって、人の死が影響するかどうかで決まる

不動産における「人の死に関する告知」に関しては、細かいルールはあるものの、要するに

購入(賃貸)するかどうかの判断にあたって、人の死が影響するかどうか

ということです。そこはガイドライン発表前から変わっていません。

例えば誰もが迎える寿命で、そのお家で亡くなった場合は告知は不要です
しかし独り住まいで死後発見が遅れてしまい、特殊清掃を実施した場合などは3年以内であれば告知しなければなりません。

そして「人の死に関する告知」でいうと

亡くなった方やその遺族等の名誉、および生活の平穏に十分配慮しなければならない。

とありますので、やはり物件資料やネットに「心理的瑕疵あり」などど掲載すべきではないということになります。

検討する側にとっては、「知りたい情報」ですが、売主にとっては「不特定多数には知られたくない」という内容でもあります。

大手を中心に、最近ではネットに「心理的瑕疵あり」と記載することは少なくなりました。
これは上記ガイドラインに基づくものです。

この物件、安いですが事故物件ですか?

といった質問を頂くことがあります。

確かに「安くてお得不動産」というのは個人的には存在しないと思っているので、相場より大幅に安い場合は、「心理的瑕疵物件」か「再建築不可物件」か「住宅ローンが使えない物件」などになります。

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ネットの情報には、「心理的瑕疵あり」と掲載されなくなるケースが今まで以上に増加すると思いますので、気になった場合にはしっかりと不動産屋にヒアリングをして下さい。

どこまでなら気になって、どこまでなら気にならないのかはその人によります。

しっかりした不動産屋であれば、その状況をヒアリングしているはずなので、ぜひ検討の材料として下さい。そして案内時に初めてそのような告知をするような不動産屋であれば、信頼に足るとは思えませんのでご注意ください。

「人の死に関する告知」に関してだけでも不動産屋のレベルや知識は伺い知れます。

良い不動産屋と出会えますように、、

ではまた!

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この記事を書いた人
エネミー伊吹
エネミー伊吹

40代前半の現役不動産屋。20年以上不動産に携わる。
大学卒業後、住宅メーカーに就職し1年目に全国新人トップを取る。その後自身で設計をし、実家を建て替える。
20代後半から賃貸会社に転職し、不動産のマーケティングを担当する。
現在は仲介不動産会社に勤め、年間200件前後の不動産に携わり、毎年100組以上のお手伝いをする傍ら、ブログを書く日々を送る。
いちごを育てながらカステラを自分で焼く。甘党。

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